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ラブストーリー

罪咎∞ #1【朝の来ない夜はない】

   

「ねえ、お姉さんといいこと、しない?」

 ――いいことってなに?

「いいことって言ったら、アレしかないじゃない。もしかして、まだ未経験?」

 ――アレってなに?

「そう、ちょっと人生損しているのね、可哀相。じゃあ、お姉さんといいことして遊びましょう。極上のチョコレートとお小遣い、あ・げ・る」

※タイトル読み『ざいきゅうむげんだい』

 

【プロローグ】

 バレンタインの夜。
 ひとりの女が俺の目の前に姿を見せた。

「ねえ、お姉さんといいこと、しない?」

 ――いいことってなに?

「いいことって言ったら、アレしかないじゃない。もしかして、まだ未経験?」

 ――アレってなに?

「そう、ちょっと人生損しているのね、可哀相。じゃあ、お姉さんといいことして遊びましょう。極上のチョコレートとお小遣い、あ・げ・る」

 まだ十歳になるかならないかの俺にとって、差し出された万札の束は魅力的だった。

 チョコレート如きに釣られるほど、ガキでもない。

 夜の街のネオンをも黒い闇に変えてしまいそうな、漆黒の黒髪をした女。

 魅力的な言葉を軽々しく言えるような安っぽい女じゃないことくらい、まだ男になりきっていない俺にもわかる。

 引き寄せられる。

 この女に誘われて、拒める男がいるなら――会ってみたいものだ。

 いやしないだろうけど、な。

 初めて知る、甘い蜜。
 初めて感じる快楽。
 溺れていく――
 流されていく――
 どうしようもないくらいに――

 それが全ての始まりだった――

 

-ラブストーリー