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変な神様(前編)

   

大きな契約をまとめた営業部のエース、相良裕太は、仲間たちに祝福を受けていた。社長からの特別手当で食事に行こうと提案する相良の言葉に、仲間たちは大いに盛り上がる。

そんな相良のことを面白く思っていない男が一人。
同期である小宮山啓太は、話の中心で輝いている相良を妬ましい目で見つめていた。

一般作品です。前後編の短いお話になります。

 

「いやあ、また大きな契約をとっちゃっいましたよ~。特別手当も出たし、今日はみんなで焼き肉でも行きましょうか!」

 営業部に歓声が上がる。部のエース、相良裕太は仲間たちの輪の中でひときわ輝いていた。

 盛り上がる仲間たちとは離れた場所で、全く存在感のない男が一人。小宮山啓太は、部屋の隅にある自分の机に座り、先般起きた発注ミスの始末書を書いていた。

(くそ~あいつ同期のくせに何であんなに簡単に契約をとってくるんだよ。まさかあいつ、裏で何かやばいことをやってるんじゃないだろうな。そうだよ。絶対そうに違いない)

 小宮山はズレた黒縁メガネを指で押し上げながら、仲間たちと談笑をする相良裕太を見つめていた。

「おい小宮山! 始末書は書けたのか?」

 後ろから嫌味を込めた口調で声をかけられる。脂ぎったテカテカのバーコード親父が、上から彼を睨み付けている。部長の加賀美茂雄だった。

「ぶ、ぶ、ぶ、部長……すみません……あの、まだ……」

 小宮山の答えに、加賀美の顔に不機嫌な色が浮かんだ。

「全く……同期だというのにこの差は何だね。だいたい君は、※□△♪×○……」

 部長の有り難いお説教はそのあと30分続いた。自分の机で突っ伏しながら撃沈する小宮山の背中を誰かが叩いた。顔を上げると、そこには相良裕太の姿があった。

「そんなに落ち込むなよ。あの狸親父のお説教はハイハイっていいながら適当に聞き流せばいいんだよ。どうせ大した内容じゃないんだからさ。それよりもお前も行くだろう? 今夜の焼き肉」

「い、いいのかい?」

「当たり前じゃんか。同期なんだからさ。今日はたらふく食って飲んでくれよな」

 小宮山の背中をバンっと強く叩いたあと、相良は自分の席に戻りパソコンを立ち上げた。

 

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変な神様<全2話> 第1話第2話

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