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ラブストーリー

1826

   

バレンタイン特集参加作品です。

つきあい始めて、今日で1826日目(365×4+366)。
197センチと147センチのハイネと都和子。
寒空の下、
くだらなくも、ふたりだけの、幸福である、
30分にも満たない会話です。

 

 凍えそうなくらい、寒い日は、手袋をしていても、かじかんでしまっている指先をあたためてくれる、甘くて、あたたかい食べ物が、恋しくなる。
 年末年始の、せわしないイベントを終え、寒さ厳しいこの時期は特に。
「あったかいっていうのは、判るけど、甘いっていうのが、イマイチ、疑問」
 吐く息が、白く凍る街。
 クリスマスも正月終わり、それでもどこか浮足立った雰囲気なのは、きょうが、恋人たちの、または恋人たちへと変化を遂げることのできる、夜のひとつだから、なのかもしれないけれど。
 St. Valentine’s Day
「……そう? あったかくって、甘いのって、気持ちよくならない?」
 そんなイベントも、あったなぁ、と、都和子は、ぼんやりと思いながら、隣にいるハイネを盗み見た。
 こっそりと盗み見るにも、少々苦労する身長差が、あるけれど、だからこそハイネは、気づいてはいないだろうけれど。
 どうりで、周囲の雰囲気が、桃色がかっているのかと、思った。
 そして、自分は、そんなイベントごとなど、まったく気にすることもなく、または、気づくこともなく、きょうという日を、急遽、ハイネと過ごすことになったのだ。
(ハイネは……)
 この日に何かを、期待していただろうか?
 どこに行っても、それこそ1月の中旬頃から、ときには、正月気分も明けぬ間に、街は製菓メーカーに踊らされて、特設コーナーすら、あったりするのに。
 けれど都和子は、気にもとめていなかった。
 初めて、ハイネにそれを渡したときは、それこそ、クリスマスシーズンはじめから、そわそわして、何度も何度も、試作品を作っては、試作品の出来に、落ち込んだり、喜んだりもしたけれど。
「んー? あったかいで、気持ちいいは、そうだろうけど……。食い物で、気持ちよくなるってのが、理解不能」

 

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