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ラブストーリー

Home made 恋レシピ 1

   

都会の暮らしに疲れてしまった杏樹(あんじゅ)。
人とのふれあいが恋しくなって逃げてきた街、札幌には、母方の祖母が住んでいる。
戻る場所をなくして着いた家は、相変わらずの祖母フミが、ぶっきら棒ながらも杏樹の何かを察して迎え入れてくれた。
そこで知った夕食サービス。
『しーちゃんの弁当』と言われているそのサービスは、どうやらただの宅配サービスではないようで……。

 

 都会での生活に疲れ、会社でのネチネチした女たちのイガミヒガミにうんざりし、あげく男に二股かけられて、問い詰めてみればアッサリと捨てられ……。
 そんなこんなで都会からサヨナラした女、福原杏樹(あんじゅ)は、海を渡って北海道へとやってきた。この土地には、母方の祖母が住んでいる。それを頼りにやってきたのだった。
 千歳空港に降り立った杏樹は、まだ寒さの残る気候に身震いしてから、荷物を受け取り、電車に乗り込み札幌へとやってきた。降りたからといって、一息ついている暇などない。勿論、この札幌とて、北海道では都会なのだ。人の多さは半端じゃない。
 人の波に流されながら、あれよあれよと言う間に改札を抜けてきた杏樹は、ようやく人波から抜け出して壁にはりついた。
(なんだかんだ言っても……、ここも都会か……)
 人の足を踏もうが、大きな荷物が誰かの体に当たろうがお構いなしだ。「すみません」の一言なんて聞こえてきやしない。
 そんな世の中にうんざりしすぎて長い溜息をついた杏樹は、はやく祖母の家に着いて、畳に体を投げ出したい……、そう思った。

 

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