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ラブストーリー

Home made 恋レシピ 2

   

謎の『しーちゃん弁当』を頼むことになった杏樹は、フミに言われ、登録するための紙をもらいにいったのだが、中で待っていたのは随分若い男だった。しかも体躯のいいイケメンときている。
当然、杏樹は意外すぎて放心していると、顔を真っ赤にする杏樹をからかいだした。
だが、この『しーちゃん弁当』を頼むには掟があると聞いて、目を丸くしたのだが……。

 

ややしばらくして聞こえたのは、先程の男の声だ。
「あの、フミの孫です」
『あー、勝手に入ってー』
 随分アバウトだなと恐る恐るドアを開けると、玄関というものの仕切りがなく、靴を脱いで上がってしまえばリビングという造りになっている。
 その広い部屋の中心に、大きなテーブルが置いてあり、その上には皿が並んでいた。
「あの、初めまして……」
「んー、いらっしゃい」
 壁に沿って造られているキッチンから、作業を止めて振り向いた男に、杏樹は目を丸くした。
 まだとても若い男だ。しかもイケメンときている。肩に付くくらいの髪をカチューシャで留めて、長身でしっかりした体つきに良く似合っていた。
 まさに女性に騒がれるような男を目の前に、杏樹はしばらく呆けていた。
「……おーい、どっかに魂置いてきたか?」
「……は?」
 いつの間にか目の前に男がいて、顔の前で手を振られている。
「ぅわっ!!」
 それに気付いて飛び退いた杏樹は、顔を真っ赤にして慌てて頭を何度も下げた。
「すいませんっすいませんっ!!」
「ぶっ……」
 噴出した男は、しばらく肩を揺らしていたが、堪えきれずに大声あげて笑い出した。
(そこまで笑うかっ!? だって、仕方無いじゃな~~~いっ!)
 こんな男を目の前にして、何も感じない方が絶対おかしいと、勝手に結論づけて、杏樹はフミから預かった漬物を自棄気味に差し出した。
「これっ! ばあちゃんが持ってってくれって!」
「お、さーんきゅ。また新しい技、身につけたんだねぇ、フミちゃん。辛子漬けか?」
「え? あ、はい……。お隣のおばあちゃんに教わったって……」
 見て分かるんだと、渡した袋を眺めていた杏樹。この男は、料理の専門学校でも出てるのかなと、なんとなく思っていた。すると、男はキッチンに向かい、中からすぐにきゅうりを一本取り出して手で半分に折ると、片方にかじりつき、もう片方を杏樹に差し出した。
「んまい。食ってみ?」
「あ、はいっ」
 いきなり差し出されて、戸惑いながら受け取ると、それを一口かじってから思わず目が開いた。
「ほんと、美味しい! すごいなぁ、ばあちゃん。……あ、でも、昔からばあちゃんの作るご飯って美味しかったっけ」
 ふと昔の記憶を辿り、杏樹は薄く笑った。

 

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