幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ラブストーリー

Home made 恋レシピ 4

   

翌日、フミの怒鳴り声で起こされた杏樹は、『辛子漬け』の作り方をフミに聞いた。
だが、材料こそわかったが、あくまで分量は適当。さっぱりわからなかった。
そんな時、昨日の皿を返してきてくれと頼まれ光輝の家に向かったのだが、インターホンを鳴らしても応答がない。
仕方なくドアを開けて何度か呼んだ時、寝起きの光輝が二階から下りてきて……。

 

 翌朝、いきなりの怒鳴り声で目を覚ました杏樹。
「いつまで寝てる!」
「ふへ……? へ? ばあちゃん……?」
「もう七時回ってるよ! 起きれ!」
 部屋の入り口で仁王立ちしているフミに瞬きしながら、杏樹は思い切り顔を顰めてから、のそのそと体を起こした。目を擦り、やけに気だるい体に項垂れる。
「う~~~……。ゆっくり寝ろって言ったくせにぃ……」
 仕方なく布団を抜け出し着替えを済ませると、居間に入って台所に立つフミに近づいた。
「おはよ……ばあちゃん」
「ほれ、アンタ、サッサと顔洗って。掟を忘れたわけじゃあるまいね」
 そう言われ、杏樹は慌てて洗面所に駆け込んで顔を洗った。そして、タオルで拭きながら再びフミに近づいて、手伝うことはないか聞いた。
「昨日のきゅうり、切ってくれ」
「はーい」
 まだあったのかと冷蔵庫を覗く。すると、昨日光輝に渡したものと同じ袋が入っていた。それを取り出してまな板を用意すると、慣れた手付きできゅうりを切って小鉢に入れた。
「ふ~ん……。一応は包丁使えるのかい」
 少々小馬鹿にしたように笑われ、杏樹の唇が尖る。
「アタシだって、一応自炊してたんだから」
「一応ねぇ」
 笑いながら味噌汁を盛ったフミは、テーブルに運び腰を下ろした。杏樹も小鉢を持ってテーブルに着くと、床に置いている炊飯ジャーを手繰り寄せたフミがご飯を盛り、二人で手を合わせた。
「いただきます」
「いただきます。――そうだ、ばあちゃん」
 ふと思い出して、杏樹は目の前にある漬物の漬け方を教えてくれと、顔を覗き込んだ。
「簡単だ。酢と砂糖と粉辛子。分量は適当」
「……でた、ばあちゃんの適当」
 口の端を引き攣らせながら、杏樹はきゅうりを口の中に入れる。
 フミの料理は、全て分量というものがない。全てが適当で括られる。
「昔からそうだけど、適当じゃわかんないよ。だいたいどれくらい?」
 ご飯を食べ進めながら、杏樹は困った顔をした。

 

-ラブストーリー