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GunDaddy&GunDaughter~ガンダディ&ガンドーター~第12話

   

香音(かのん)が通う学校が《ビューティフル・ワールド》によって占拠された。占拠した理由は、そこをレディ・タランチュラことセラリア抹殺の場所にするためだ。
《ビューティフル・ワールド》から挑発のメールを受け取ったセラリアは学校に向かう。
一方、京一はニュースで香音が通う学校が何者かに占拠されたことを知り、やはり学校に向かう。香音が心配だからだ。……完全に親バカである。
《ビューティフル・ワールド》を抹殺するためのセラリアと香音を助けに行く京一は合流し、共に学校へと向かった。

 

 日課のトレーニングをしている最中、香音(かのん)は何かモヤモヤしたものを感じていた。
 新星(しんせい)学園はセキュリティがしっかりしているので、外部の人間は安易(あんい)には侵入できない。
 あくまでも外部の人間は、だ。
 学園関係者……教師や生徒などは、フリーだ。何のチェックも受けない。
 だから昨日、暴れた生徒たちはナイフという凶器を持ち込むことができた。
(金属探知機やX線探知機があるわけじゃない……場合によっては、学園の関係者なら持ち込もうと思えば銃だって持ち込める……)
 学園で、また騒ぎが起きるかもしれない……胸のモヤモヤは、そんな予感なのかもしれない。
 トレーニングを終え、シャワーを浴びた香音は制服に着替える。
 それから、護身用のコルト・ポケットを見つめた。
「何かあった時、これじゃあ役に立たない……」
 近距離で撃てば効果はあるが、距離があけば役に立つことは少ない。
 先に京一に相談しようと、香音はダイニングに向かう。
「ねえ、パパ」
「んー? 何だ?」
 ベーコンエッグを焼いている最中の京一は、肩越しに香音に顔を見せた。
「あのさ、予感ってあるよね? その予感に従うってのは……プロ失格の行為?」
 ひょっとしたら、プロとして間違ったことをしようとしているのかもしれない……それが気になり、香音は聞きにくそうに京一に聞く。
「何だ? 何か感じているのか?」
「う、うん、まあ、ちょっと」
 香音は困ったような表情を浮かべる。京一は安心させるように笑顔を浮かべた。
「カンや予感に従う……それで生き残ることもある。べつにプロ失格じゃない。自分を信じるのは、悪いことじゃないぞ香音。何かを感じたのなら、それに従ってみろ。俺は反対しない」
「そっか」
 香音の顔に笑みが浮く。「ありがとう」と京一に感謝の言葉を述べ、彼女は部屋に戻った。そして、机の引き出しの鍵を解除する。
 そこにはグロック21と予備マガジンが入っていた。
 コルト・ポケットを引き出しに入れ、代わりにグロック21と予備マガジンを取り出す。
 スライドを少しだけ引いて、薬室に一発装填(そうてん)されているのを確認。それからマガジンを抜いて装填を確かる。
「鞄の隠しポケットには入らないよねえ、サイズが違うし……」
 むき出しのまま鞄に入れるのは問題がある気がした。誰に見られるか分かったものではない。どこに隠すか考えた香音は、
「そうだ!」
 ある場所を思い付いた。
 今日は体育の授業がないので、着替えの必要はない。
 なので、丁度良い隠し場所があった。
 香音はスカートをめくる。
 スカートの下にはブルマを穿いていた。
 ショーツのゴムでは無理があるが、ブルマのゴムはきつい。
 最大限に利用すれば、グロック21と予備マガジン二本を挟むことができた。
 スカートを戻す。外から見る限りでは目立たない。
 香音は「よし」と頷き、朝食のためにダイニングに足を運んだ。

☆☆☆

 新星学園の中等部と高等部がある敷地に行くためには、橋を渡る必要がある。
 西橋、東橋と呼ばれている二本の橋。
 この橋の入り口にはゲートがあり、登下校の時間以外は閉ざされていた。
 業者のトラックなどが通る時には、学園側のコントロールで開閉される。
 外から開けることは不可能。
 だが、中からは簡単に開けることができるということだ。
 ゲートの開閉装置は、守衛室にある。そこのドアがノックされ、守衛は何気なくドアを開けた。
「誰です?」
 教師が何か用があって訪れたのかと思ったが、そこにいたのは一人の男子生徒だ。
 右手には、何か黒い物を握っている。
 男子生徒はそれを守衛の胸に突き付けた。
 サイレンサー付きの拳銃……胸を銃弾で撃ち抜かれ、守衛は倒れる。
 守衛を撃った男子生徒は守衛室に入り、ドアを閉じて鍵をかける。
 彼は携帯電話を取り出し、どこかに連絡を入れた。
「総統、首尾はOKです。いつでもゲートを開けられます。他の同志も、いつでも動けます」
『よくやった。時計を合わせろ。一分後に西橋のゲートを開けるんだ』
 携帯電話から聞こえるのは、アイゼンバウアーの声。
 男子生徒はカウントダウンを始め、ゲートを開けるための装置の前につく。
 すぐに西橋のゲートの前に、二台のワゴン車が止まる。
 一台のワゴン車の運転席にいるのはアイゼンバウアーだ。
 ジゼルとサクラは中央の席におり、シートが倒されている後部座席には八九式小銃とレミントンM870がどっさりと置かれていた。
 もう一台のワゴン車の運転席にはリックがいる。
 彼が運転するワゴン車には、黒いケースが積まれていた。
 アイゼンバウアーが指示を出した男子生徒は、イエロードロップの作用で暗示にかかっている。
 他にも、同じように暗示に掛かっている生徒が何人もいた。
 アイゼンバウアーが指定した時間の通りに、ゲートが開く。
 二台のワゴン車がゲートを潜(くぐ)ると、ゲートはすぐに閉じられる。
 新星学園の男子制服であるブレザー姿の少年とセーラー服姿の少女が数人、ワゴン車に駆け寄ってきた。
 リックはワゴン車から降りると後部スライドドアを開け、黒いケースをいくつか降ろす。
「二つの橋の中央に設置するんだ」
 アイゼンバウアーはウィンドーから顔を出し、生徒たちに指示を出す。
 ジゼルは生徒たちに、ショットガンや小銃を渡す。
 コクリと頷いた生徒たちの一部は、ケースを持って東橋の方に向かった。
 二台のワゴン車は学園の敷地に入り込む。
 アイゼンバウアーを待っていた中等部と高等部の生徒たちに、銃器とケースを配る。
「本当に、これで上手くいくの?」
 ジゼルが問うと、アイゼンバウアーは「いくさ」と頷く。
 それから車内にいるサクラに合図を送った。
 サクラはノートパソコンを操作してネットに接続すると、ある人物にメールを送った。

 少し遅い朝食を楽しんでいる最中、携帯電話が振動してメールの着信を知らせた。
 ホットケーキをフォークで口に運びながら、セラリアは携帯電話を手に取る。
 届いたメールの件名を見て、彼女の顔が険しくなった。
《ビューティフル・ワールドです》という件名のメールを開く。
《どうも、はじめまして。ビューティフル・ワールドの者です。私たち四人、新星学園の中等部・高等部がある敷地にいます。どうぞ殺しに来てください。でも、ただではやられませんよ。当然、罠が色々と仕掛けられていますので》

 

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