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ラブストーリー

Home made 恋レシピ 7

   

家に戻ってきた二人。
杏樹は、光輝にお礼を言ったのだが、そのお返しとして『モーニングキス』を要求された。
だが、それを受け入れたつもりだったのだが、突然に思い出された元カレとの別れ。それが杏樹に涙を流させた。
その意味を聞いたが、答えなかった杏樹につい冷たくなった光輝だったが……。

 

 フミの家に戻ってきた二人は、テーブルの前に座って、先程渡された書類を広げた。
「これ、すぐ持っていった方がいいのかな」
 杏樹が不安げに光輝を見ると、眉を上げて「急ぎじゃないだろ」と書類を覗き込んだ。
「どうせ毎日見舞いに行くつもりだろ? その時持って行きゃいいよ」
「……そっか」
 緊張の糸が解けたように脱力した杏樹を見て、光輝はクスクス笑う。その笑い声に少しだけ唇尖らせながらも、すぐに口をへの字に曲げ情けない顔になった。
「しーちゃん……」
「んー?」
「……ありがと」
「なにが~?」
 わざとらしく、ふざけて身を乗り出した光輝は、顔を間近に迫らせて口角上げた。
「ちっ……、近いっ!」
 ハッとした杏樹は、バッと体を後ろに引き顔を真っ赤にした。すると声を上げて笑い出した光輝は、手を伸ばして杏樹の頬に触れた。
「で? 何がありがと?」
 微笑みながらそう聞かれた杏樹は、触れられている頬に更なる熱を感じながらも、光輝を上目使いに見詰めた。
「しーちゃんいなかったら……、アタシ、気が動転してて……何も出来なかった……」
「俺がいて良かった?」
「……うん」
「じゃ、お礼くらい欲しいよなぁ~」
 意味深に笑った光輝は、手を引いて自分の座っている横をポンポンと叩いた。
 なんだろうとその手を眺めていると、「ココに座れ」と命令される。疑問に思いながらも、杏樹は立ち上がりその場所に座ると、光輝の手が再び伸びてきて、杏樹の頬に触れた。
「昨日のモーニングキッス、今してもらおうか」
「えっ!? いやっ、あのっ……」
「杏樹」
 少し強めに呼ばれた名前。その声色に、杏樹がおとなしくなった。
 怒っているわけでないのは、完全に分かっている。急に、真面目なトーンに変わった事で、逃げられないと思ったのだ。
 だが、逃げたいとも思っていなく、おとなしく光輝の様子を窺う。鼓動の一つ一つがハッキリと打ち鳴らしている。
「お前の側になら、いてやりたいと思える」
「しー……ちゃ……」
 静かに重なった唇。自然と開いた唇に、光輝の舌が差し込まれた。

 

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