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GunDaddy&GunDaughter~ガンダディ&ガンドーター~第13話(最終回)

   

学園内に潜入した京一とセラリアは香音(かのん)との合流に成功する。
セラリアは任務である《ビューティフル・ワールド》のメンバー抹殺のために、二人とは別行動をとる。
京一と香音はドラッグによって暗示にかかった生徒たちを制圧することにした。
GunDaddy&GunDaughter~ガンダディ&ガンドーター~、最終回。

 

 京一が向かった先は変電所だ。
 職員に見つからないように変電所に潜入した京一とセラリアは、小さな建物の中に入る。
「橋を渡る必要はない。秘密の通路が川の下にあるんだ」
 言いながら京一は、床の上げ蓋式の扉を開ける。
 そこには地下に通じる階段があった。
 階段を下りると、壁や天井に何本ものケーブルが走っている狭い通路が伸びている。
「電気や通信のケーブル用の坑道ね……なるほど。これが学校の下に続いているのね」
「そういうことだ。警察の連中は気付いていないようだがな。ま、焦っていて気付いていないだけだろう。冷静になれば、すぐに気付くはずだ」
「日本(ひのもと)の警察はダメダメね」
 セラリアは呆れたような口調で言う。
「だから俺たちみたいな非合法の賞金稼ぎってのが生まれたんだよ」
 懐中電灯を点(つ)け、ケーブル用の坑道を走る京一。セラリアは彼の背に続く。
「セラリア、頼みがあるんだ」
「頼み? いいわよ、言いなさい」
「《ビューティフル・ワールド》のメンバーは殺しても構わない。連中を殺すのが、セラリアの仕事だし、それを止める気は無い。だが……バーサーク・ブラッドの効果で暗示に掛かっている生徒たちは……」
 京一の言葉にセラリアは「分かっているわ」と告げる。
「殺すのは《ビューティフル・ワールド》のメンバーだけ。子供たちは殺さないわ。でも、動けないように手足は撃つわよ」
「殺さなければいいさ。それと《ビューティフル・ワールド》のメンバーを殺す時は、香音(かのん)が見ていない所で頼む」
「OK、分かった。確かに、香音ちゃんには人が死ぬところを見せるのは少し早いかもね」
 しばらく歩くと、壁にハシゴが設置されている場所に着く。
 京一は懐中電灯の明かりをハシゴの上にあるパネルに当て、書かれている数字を確認して一つ頷く。
「ここだ」
 ハシゴを上り、パネルを少しだけ上げた。
 そして地雷など罠の有無、見張りの有無を確認する様子を見せる。
 罠も無ければ見張りもいないようなので、パネルを大きく開けて梯子を上りきる。
 セラリアに手を貸し、彼女を引き上げた。
「ここは?」
「中等部校舎の地下だ。ちなみに、坑道は高等部校舎にまで通じている」
「あーはいはい、香音ちゃんは付属の高等部に行くわけね」
 かつてはセラリアに次ぐ実力を誇る殺し屋であった京一だが、今の姿を見るとそれが信じられない。
 殺し屋の顔は完全に消え、ただの親バカ……あるいはバカ親である。
(変われば変わるものね……超一流の殺し屋を変えた香音ちゃん……やっぱ嫉妬(しっと)しちゃうわね)
 殺し屋ではなくなったが、京一の顔は昔より良くなっているように見えた。
 これはこれで良いのかもしれないと、セラリアは思った。
 香音への嫉妬が消えることはなかったが―――。

☆☆☆

 香音は地雷や他のトラップを気にしながら、校舎の地下に向かっていた。
 その途中、
「おい! そこのお前!」
 と声をかけられた。
 見ると、そこにはレミントンM870を構えた男子生徒が二人いた。
 二挺のレミントンの銃口が向けられると同時に、香音の腕は反射的に動いていた。
 左手がスカートの裾を掴み、バッとめくり上げる。
 真っ正面から男子生徒たちにスカートの中を堂々と見せる格好となり、男子生徒たちの視線が香音の下半身に集中した。
 生死が関わっていて、ブルマを穿いているとはいえ、真っ正面からスカートの中を披露(ひろう)するのはさすがに少し恥ずかしかった。
 羞恥(しゅうち)で頬を僅かに染めながら、香音はブルマに挟んだグロック21を抜く。
 ショットガンに装填されているのが一粒(スラグ)弾か散弾かは分からない。
 散弾だったら厄介だ。
 なので香音は男子生徒たちの注意をスカートの中に向けたままにさせることにした。
 左手でスカートを掴んだまま、グロックの銃口を下げる。
 そして銃口をズラしながらトリガーを連続して四回引く。
 .45口径の弾丸は、男子生徒たちの両太腿に一発ずつ当たった。
 悲鳴を上げて倒れる二人。スカートの裾から手を離した香音は、彼らに駆け寄る。
 そしてショットガンを蹴飛ばし、首筋に一発ずつ蹴りを叩き込んで気絶させた。
「ふう、両手で構えなくても、何とか当たるか……」
 だが何となくまだ不安を感じるので、よほどのことがない限り両手で構えて撃とうと思う香音であった。
 一息ついて養父との合流地点である地下に向かおうとした時、地下に通じる階段から足音が聞こえた。
 そしてグロック21を両手で構え、香音は階段に銃口を向けた。

「香音ちゃんは、まだ来ていないみたいね」
 セラリアは周囲を見回しながら言う。
 地下のどこにも人の気配は感じられない。
 その時、銃声が聞こえてきた。
 京一はUSPを構えて階段を駆け上がっていく。
「あ、ちょっと待ちなさい」
 セラリアはP99を抜いて彼の後を追った。

 階段を駆け上がってきたのが京一だと知って、グロック21を構えていた香音の全身から力が抜ける。
「パ、パパ……」
「香音!」
 京一は養女の元に駆け寄った。
 駆け寄ってくる彼の姿を見つめる香音の瞳が、涙でウルウルと潤(うる)みだす。
「パパ……ふえ……ふえぇぇんっ! パパぁぁ!」
 そして堪(こら)えきれずに泣いてしまった香音は、駆け寄ってきた京一にギュウッと抱き付く。
「うええんっ! パパぁッ!」
「香音! 大丈夫か? 怪我とかしていないか?」
 泣きながら、香音はコクコクと頷く。
「うう、ただ不安だっただけ……だ、だって、い、いつも、ヒック……いつもパパが後ろにいるのに……ヒック……後ろにパパがいないと……ヒク、不安だった……怖かったよお、パパぁっ!」
「よーし、よし。もう大丈夫だ。パパがいる」
 胸に顔を埋めて泣きじゃくる香音の頭を、京一は優しく撫でる。
 しっかりしているようで、香音はまだ十四歳の子供。
 銃を持った人間が大勢いる中、支援もなくただ一人きり。
 不安になって当然であろう。
「京一、あなたは香音ちゃんと一緒にいなさい。私は一人で動くわ」

 

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