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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

プラチナ・フィンガー〜官能小説家を見つけたら〜<8>

   

事件解決のヒントは身近なところにあったのだ。

 

 しぶしぶとソファーから立ち上がると、ドアへ向かう。
「あっ!」
 森川紗智子は、シャワーを浴びていないことに気が付いた。
 帰ってきて、ソファーに座ったままで考え続け、そのまま、約束の時間になってしまったのだ。
 マッサージを受けるなら、シャワーを浴びて身体をきれいにしておくのが礼儀というものである。
 もっとも、今夜はトリックの事で大光寺克己が部屋へ来るのだ。
 別にマッサージをして貰わなくてもよい。
 ソファーに座ったまま、話し合うだけでもよいのだ。
 しかし――。
 大光寺克己のマッサージは絶妙であった。
 マッサージも、して貰いたい。
 こうした考えを交錯させながら、ドアを開ける。
「今晩は。お約束通り、参りました」
「お待ちしておりました。どうぞ」
「失礼します。では、ベッドへ……」
「あ、あのう、今日は、トリックの話ということなので……」
「マッサージしながら、お話しましょう。夜、ホテルの部屋で、美女と向かい合って話すのでは、どうも……、気が引けます」
「でも……」
「シャワーの事は気になさらずに。若い女性の素肌の匂いは、最高の香水よりも高貴なものです」
 森川紗智子は、大光寺克己の気遣いに感心するよりも、彼の台詞に関心した。
 プロなのである。
「では、お願いしますわ」
 さっと洋服を脱ぎ、パンティだけの姿になる。
 そして浴衣を羽織り、ベッドへ入る。
 右を上にして横向きに寝た。
「失礼します」
 大光寺克己がマッサージを始めた。
 気持ちよい。
 それが、森川紗智子の口を軽くさせた。
「大光寺さん」
「はい」
「ご推察の通りよ。竹でナイフを作る、というのがメイントリックだったの」

 

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