幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

愛の連鎖 中編

   

成田は言う、妻を愛しているのだから殺すはずがないと

しかし、その愛しているという成田の妻は…

かつて正義の為共に働いた後輩を取り調べる長谷木はなんとしても成田の口から真実を語らせようとする

そんな彼に成田はゲームをしようと取引を持ちかけてきた

 

【三章】

「見つかりましたか、長谷木さん」

 次第に虚ろな目に力が戻りつつあったが、こうやってまともな言葉を発したのは、拘束されてから始めてのことだった。
 真向かいに居る、かつての後輩――成田佑の言葉を耳にし、長谷木刑事は、思いっきり感情を面に出した。

「成田、おまえ――」

 話す気になったか?
 そう続けようとした言葉は、飲み込まれる。
 何かと重なる、この情景。
 長谷木は、刑事のカンとして、嫌な感情が湧きあがって止まらない。
 まさかな――何度も浮かんだ考えを打ち消すが、それ以外に思い当たらない。
 消しては戻ってくる、福間絹代という女の名前、彼女がとった行動。
 あれは確か――そう、こうやって行詰った状態を嘲笑うかのように、拘留期限最終日に口を開いたのだ。
 そういえば、成田を入れていた牢は、絹代が入っていた牢と同じではなかっただろうか。
 今更だが、絹代の何かが成田にとりついているようにも、思える。
 刑事らしからぬ答えに、長谷木は苦笑する。
 その苦笑は高笑いに変わり、暫く狭い室内に響き渡った。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

愛の連鎖<全3話> 第1話第2話第3話

コメントを残す

おすすめ作品