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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 第一話 歓迎できない思い出

   

南関東文科大学の学生である松下 久典たちは、遺跡や化石の発掘を隠れみのに、「タイムカプセル」の発掘を「仕事」にしていた。卒業記念などの折りに埋めた記念品を、依頼者に代わって掘り出すといった任務を受けるということをしているのだ。

そんな松下たちのもとに、今日も依頼者が訪れた。田口という名の、実直そうで貫禄のある中年男性が、中学時代にタイムカプセルに埋めたブツを掘り出し、処分してくれと言ってきたのである。

依頼を受けた松下は、仲間の、片山 千夏や新藤 俊二とともに、現場に向かったのだった……

 

 南関東文科大学は、首都圏のほぼ南端にある、どこにでもあるような文系大学だ。
 特別に何か「売り」があるわけでもなく、研究成果が全国的に話題になるわけでもない。
 経営状態も、特に悪いわけではないが、経営拡張が期待できるほど良くもなく、周囲からは完全に「普通の大学」と考えられている。
 恐らく、十年後もこの評価が変わることはないだろう。
 そんな大学の中の、都心の大学よりは少し広いかな、といった感じのキャンパスの一画に、数棟のプレハブが建っている。
 元は大学の所有物だったが、最近の少子化などで学生の数が減ったことから、「空白地帯」となり、部活やサークルが使用する形になっているのだ。
 そして、プレハブの中でももっとも小さく、元々は用具入れとして使われていた、小さな建物が、敷地の外れにぽつりと建っていた。
「遺跡・化石発掘会」と、小さなプレハブには釣り合わないほど堂々と、木の板に大きく筆書きされた看板が据え付けられたその小屋の中には、何人もの人の気配があった。
「なるほど、どうしても今週中に、その中学校にある『ブツ』を取り出して欲しい、と」
 黒いワイシャツに銀のネックレスを身に付けた男、松下 久典が、室内の簡素なテーブルに広げた地図を見やりながら口を開いた。
 まだ二十二歳だが、十歳上と言っても通じるような貫禄がある、と、人からは言われる。
 髪を短く刈り込み、額を完全に露出していることも、迫力を増している原因かも知れない。
「そ、そうなんですよ。私も、すっかりこのことを忘れていまして。同窓会の打ち合わせもかねた飲み会で言われて、ようやく思い出したわけです」
「まあ、そうでしょうな。忙しい生活に追われていれば、なかなか思い出せないものですよ。子供の頃、何を埋めたかなんて」
 松下は、自分よりも二十歳以上は年上の、白髪交じりの中年男性に、余裕たっぷりに笑いかけた。
 恐らく、この田口という男性は、雰囲気からしても会社内ではかなりの地位にあるはずだ。
 年齢からしても、貫禄からしても、松下のような若者との交渉で、取り乱すようなことも本来、考え辛いのだろうが、目の前にいる田口は、明らかに焦っていた。
 額に汗をかいているのに、顔色は蒼白に近い状態で、おどおどした視線を松下に向けている。

 

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