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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 第二話 教授選への「ダシコミ」(前)

   

「休日出勤」した松下たちは、南関東文科大学の坂上 武雄から、「仕事」の依頼を受けることになった。

五十歳にさしかかろうとする中、ようやく教授へのチャンスを掴んだ坂上だったが、同僚の「教授選を降りろ」という脅しに悩まされていた。

どんな仕掛けが待っているのか分からないので、逆にこちらから圧力をかけたいとする坂上の希望通り、あらかじめ埋められていた物を掘り出し、代わりに圧力の材料になるものを埋めるという「ダシコミ」の仕事を請け負った松下たちだったが……

 

「発掘研」と通称される松下たちは、講義がない日でも、積極的に部室に顔を出す。
 特に研究や分析といった役割が期待されているわけでもない、南関東文科大のサークルとしてはかなり珍しい行動形式だが、松下らに言わせれば、「仕事場に顔を出すのは当然」ということになる。もっとも、講義もないということでサボるメンバーも少なくないが、特にペナルティーは設けていない。
 休日ならではのおいしい案件にありつけなくなるというだけのことだ。
「いやはや、おかげさまで、上手くやれていますよ。松下さんたちの仕事がいいせいで、こっちも何もかも順調ってわけですよ」
 狭い部室の中で、松下と向き合い、簡素な椅子に座っている男は、「発掘研」のメンバーとは明らかに違う雰囲気を発していた。 洒落た黒と白のストライプの背広は、この大学にいる学生たちが就職活動で使うものよりも、軽く十倍以上は値の張るものだし、男の右手首で、艶やかに白く光っている時計は、プラチナで全てが構成された超高級品である。
 月と星を家紋風にあしらったネクタイは、シルクの光沢で輝いているし、貴金属で編まれた糸のように輝く茶色がかった髪に絡まっているカチューシャは、ブラックオパールで作られた逸品だ。
 彼が今身に付けているものを処分するだけで、高級外車を購入することもできるだろう。

 

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