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ノンジャンル

妬みの歯車 #4

   

絡み合う3人目の登場で感情は更にもつれ合う

少しずつ、目に見えない感情は確実に3人の少女たちを負へと導く

 

 
『木の実さん、ここ見ていますか? 私ね、予定より少し早く日本に戻れそうなの。できれば同じクラスになれるといいのだけれど』

 冬休み、帰省した久留美が忙しさも一段落した三が日が過ぎた頃、あのSNSにアクセスをすると、久留美宛てにこの葉からコメントがきていた。

 2学期の期末テスト間近にひとりの転入生が久留美のクラスに。

 担任が紹介した時、中学を卒業してから少しの間海外を数国転々としていた関係で、本当はみなさんよりひと学年上になるのですが、本人とご家族のご要望よりひと学年下に編入することになった……と、説明していた事を久留美は思い出す。

 帰国子女が転入してくるのは別に珍しいことでもない。

 夏休みが明けた2学期はじめ、隣のクラスにひとり転入してきている。

 学年をひとつ下げての転入も珍しくないと、思う。

 それらのピースをまとめていくと、正式には三学期からになるけれど先にご挨拶だけ……として紹介してくれたあの転入生、椿山夏帆(つばきやま なつほ)がこの葉ではないだろうかと久留美は思う。

 貰ったコメントは11月、ちょうど文科系部活の発表会があった頃。

 ひと月程度で帰国しても矛盾はない。

『この葉さん、久しぶり。返事遅くなってごめん。もう日本にいるのかな? 実はね、この葉さんのように海外にいたって人が三学期に転入してくるの。偶然なのか同一人物なのかわからないけど、その人がこの葉さんだといいな』

『返事ありがとう。返事もらえて嬉しい。実はね、もう日本に戻っているの。聖女学園にも一度行ったのよ』

『そうなの? もしかして、椿山さん……じゃないよね?』

 文字を打っている間一瞬だけ迷ったけれど、久留美は思い切って書き込みをしてみた。

 短い間でのやりとりが、突然ぱったりと返信が途絶える。

 そこそこ親しくなったとしても、個人を特定し兼ねない事を訊ねる行為がマナーに反していることは久留美もわかっている。

 だけれどどうしても聞かずにはいられなかった。

 ここで『違うよ』とでも返ってくれば、それ以上聞くつもりもない。

 それくらいの気持ちだったけれど、この葉さんは違ったらしい……そう受け取った久留美はその日を最後にそのSNSにアクセスすることはなかった。

 

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