幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ノンジャンル

妬みの歯車 #6

   

発表会の翌日、ひとり後片付けをしている夏帆を手伝う為に、久留美とルリは古い教会にいく

教会にはあまり使われていない地下室があり、そこに入ってみようと誘う久留美

賛同する夏帆

しかしそれは久留美とルリが企てた罠だった

 

 
「お疲れ様、夏帆。なかなか戻ってこないから心配になって」

 翌日、毎年発表会が終わった次の日は自由登校になっている。

 スタッフの中心となっている2年生は片付け終わらなかった続きをしなくてはならず、授業があっても出ることが困難な為の処置らしい。

 夏帆も朝食後登校したまま夕刻近くになっても寮に戻ってはこない、その事を気にして久留美とルリが教会の様子を見に来たのだった。

「久留美、ルリ。心配してくれたの? ありがとう。今年は特別会場としてこの教会を使ったでしょう? 会場が増えたことでなかなか終わらなくて」

 とはいえ、この教会に夏帆以外の姿が見当たらない。

「他の人は? 夏帆だけ?」

「う……ん。なんか、ちょっとしくじっちゃったみたいで、私」

 今年の発表会は異例だった。

 そのひとつに夏帆の父親の演奏会があった。

 多分上級生や夏帆の家より権力のある父を持つお嬢様の方から嫌味でも言われたのだろう。

 余計な仕事を増やしてくれたのは、あなたのせいよ……的な事を。

「そっか。手伝おうか?」

 久留美の言葉に夏帆の表情が明るくなる。

「嬉しい。ピアノの運び出しは専門の業者さんがしてくれたんだけれど、この広さひとりで掃除は正直堪えていたの」

 いずれ取り壊す予定の教会とはいえ、やはり最低限の手入れはしなくてはならない。

 それがもともと修道院があったこの地に学園を建てた礼儀というもの。

 ルリは入口付近を、夏帆は壁際を、そして久留美は祭壇付近を掃除はじめる。

 無言で掃除をしはじめて暫く経った頃、久留美が声をかける。

 

-ノンジャンル