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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 第二話 教授選への「ダシコミ」(中)

   

 改造バイクに乗った男達を撃退して、松下たちは潜入の準備を整える。だが、松下たちの意気込みとは異なり、遅れてきた坂上の態度は良いとは言えず、しかも坂上が持ち込んできた情報には穴があった。
 強い不満を感じながらも、「仕事」だということで我慢して、何とか潜入を開始した松下たちだったが、さらなる問題に直面してしまう。

 

 現場近くの駐車場に、松下たちは車を停め、坂上が来るのを待っていた。
 少しずつ交通量は減っているものの、遠くで、先程のバイクと同じような排気音がいくつも響いている。
 引き返していった連中の仲間たちが動いているのだろうか。
「カモ・フィルム、貼り終わったよ」
 トランクを開けて、車の外で作業をしていた千夏が、松下たちに声をかけてきた。
 車の窓と車体に、それぞれ種類の違うフィルムを貼りつけたのだ。
 ちょうど、物にラップを巻きつけるような気楽な仕事だが、窓に黒いフィルムを貼り、その上で車体の色をシールで変えてしまえば、完全に印象を変えることができる。
 千夏の手早い作業で、松下たちのライトバンは、真新しい、しかも車体も窓も真っ黒な、いかめしい車に変身した。
 相手が、ナンバーを正確に把握していなければ、まずさっきの連中から追撃を食らうことはないはずだ。
「……あ、ありがとう、ございます。これで、彼らの正体が絞り込めます」
 新藤は、ほとんど挙動不審なぐらいに目をきょろきょろさせて、千夏にねぎらいの言葉をかけ、お茶のペットボトルを渡した。
 作業で暑くなるからと、千夏が作業着を着崩していたことで、胸の膨らみがはっきりと目に入ったのが原因だろう。
 新藤は、たとえ、かなり付き合いの長い千夏相手でも、ほんの少しでも性的な要素を目の当たりにしたなら、すぐに極度に照れて、平静さを失ってしまう。
 千夏は、新藤のあまりの「過剰反応」に、呆れと苦笑半々といった表情を隠さず、「どうも」と返してから、
「どういうこと? 襲われたからカモフラージュするのは当然だけど、それがなんで敵の正体につながるわけ?」
 と、ゆっくりと言葉にした。
 配慮からくる千夏の丁寧な言葉遣いのおかげで、新藤は平静さを取り戻すことができたらしく、一つ深呼吸を入れてから、ぽつりぽつりと話し始めた。

 

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