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星物語<4> 空

   

星をテーマにした短い小説です。短すぎてあらすじは書けません。

 

「おとうさん、空はどうして青いの」
「元気いっぱいだからさ」
「赤くなるときもあるね」
「あれは、空が恥ずかしがっているんだよ」
「じゃ、雨は」
「悲しくて泣いているのさ」
「僕と同じだ。おかあさんが死んで悲しいもん」
「おとうさんもだ。でも、雨はいつまでも降っていない。青い空もある。泣いてないで、がんばろうって、空が言っているんだよ」
「そうだね」
 それから二年後、事故で息子を亡くした男は、ZC星区の第九惑星開拓団に加わっていた。
 平均気温三百度で大気圧が八十気圧、厚い濃硫酸の雲に覆われた惑星で、硬い地表を掘り、人類が生存できるような地下基地を作るのだ。
 過酷な自然環境での厳しい作業は、すべてを無くした男にふさわしい場所であった。
 そう、すべてを無くしたのである。
 涙も、枯れ果てて出ない。
 鉛色の空からは、濃硫酸の雨が止むことなく降り続いている。

 

─Fin─

 

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