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SF・ファンタジー・ホラー

礼拝の宴 【4】

   

生い茂る草の中に地下深くまで掘られた穴があった

下に降りる為の梯子もあることから、レナがその中に入ることに

下まで行くと懐中電灯の明かりに反射して光るモノを見つけ地上に戻る

光るモノの持ち主を知った事で新たな進展に繋がっていく

 

 
 草が綺麗にかられたその場所に行くと、綺麗にかられたと感じただけで実際は踏み潰されていただけだった。

 衝立のようなものは入口の蓋? 扉? みたいなものが開けられたままになっていた為、それが離れた場所から衝立に見えただけ。

「形が円形だったらマンホールみたいだね」

 形状を見たあずさが言う。

「随分深そうね。まさかと思うけれど水梨さん、この中に入ろうだなんて思っていないわよね?」

 底が見えないので、そうとう深いのではないかと言う井上まなみは、入ってみると私が言い出す前に先手を打ってきた。

 けど、それで怯む水梨レナ様じゃない。

「もちろん、入ってみるに決まっているじゃない。この中に落ちて戻ってこられないのかもしれないし」

「戻って来られない? ちょっと水梨さん、誰の事を言っているの?」

「ああ、委員長は知らないのよね。レナはね、連絡が途絶えた別れたお姉さんを探しに聖華学園に入ったのよ」

「この学校に水梨さんのお姉さんがいらっしゃるの? でも、許斐さんの話ぶりからして連絡が途絶えたのはここ数日って感じじゃなさそうね?」

「ええ、そうよ。私が高校に入る前だもん」

「水梨さん? ちょっと待って。あなた、正気? 仮にこの穴の中に落ちてしまったとしていたら、あなたのお姉さんは白骨化していてもおかしくないわよ?」

「うん、それでも見つけてあげなきゃ可哀想でしょ?」

「あのね、水梨さん。行方不明なのならご両親が動くし警察だって動くのよ? 連絡が途絶えたのは引っ越されたとか転校されたとかじゃないの?」

 あずさの説明で、私の両親が離婚したことで離ればなれになった姉を探しに聖華学園に来たという事を理解した井上さんだけど、彼女は頑としてもう一度お父さんに頼んで別れたお母さんの連絡先を聞いて確認する事を勧めてくる。

 それがもう一度できるなら私だってしているよ。

 叫びたくなく感情をグッと抑え込んだ。

 阻止しようとする井上さんと、強行しようとする私の言い合いを黙って傍観していたあずさが口を挟んだのは、そんな時だった。

「まあまあ、ふたりとも落ちついてよ。ここ、下に繋がっていそうな梯子がかかっているし、周りの草が踏まれまくっている事から、ここ最近この場に人が居たってことよね。白骨化した遺体がみつかれば、それが人間のでなくてもそれなりにニュースになると思うの。だから、この下にそんなものはない。でもそれじゃレナは納得できないでしょ? 私と委員長がここで見張っているから下りてみたら? ちょうど懐中電灯もあることだし」

 ね? と、私と井上さんの同意を求める。

「そうね、それで水梨さんが納得してこれ以上校則違反をしないのなら、それがいいかも」

「ほら、委員長の許可も下りたことだし。そうと決まれば実行あるのみ」

 あずさが上手く話をまとめ、私は地下に続いているかもしれない人ひとりがやっと通れる穴の中に入ってみることにした。

 

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