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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 第三話 ヤバいブツを掘り返せ!(1)

   

松下たちがやってのけた「仕事」は、所属する南関東文科大学を揺るがす大スキャンダルに発展した。そのため、大学は休講状態になったが、松下たちに休みはなかった。「仕事」をしたために名が売れ、今までなかったようなところからも依頼が舞い込むようになったからである。

危険な雰囲気のある男、前岡から、この度、一括して「閉校記念セレモニー」が行われるいくつもの学校のタイムカプセルについての「仕事」の依頼を受けた松下たち。思わぬ前岡の低姿勢な態度に、依頼を引き受けることにしたのだが……

 

 南関東文科大学から直線距離にしておよそ三十キロ、東京都にもほど近いある街の繁華街の一角に、そのビルはあった。
 いわゆる雑居タイプのビルだが、外観は丁寧にリフォームされており、雑然とした近隣のビル群と比べて、綺麗さの点で目立っていた。
 テナントに入っているのも、ゲームセンターにカラオケといったところで、風俗店や飲み屋といった店が入っている他のビルに比べると、だいぶ大人しい構成になっている。
 健全な外観と業態がマッチしていると言えるだろう。
 そのビルの一階と二階はあるカラオケ店が占めているのだが、フロアによって、雰囲気は大きく異なる。
 一階部分に十か所用意されたボックスは、低コストさと入りやすさ、開放感を前面に押し出していて、近年大ヒットしている低価格のチェーン店と、見た目からメニューまでほとんど変わらない。
 一方、二階は、特別な高級感を売りにしている。
 一階のボックスの二倍以上という高い値段は取るが、一階と同じだけの広さの面積で、四つしか部屋を作っていないだけに、ゆったり広々としている。
 カラオケ機材はもちろん、ソファーや机に至るまで、一般ボックスからすれば、一、二ランクはレベルの高いものを用意しているし、注文できる飲食物にしても、ファミレスよりも高級なものだ。 店員も、二階特別ボックス専属という形で配置されていて、彼らのサービスは、一定以上名の通ったホテルでの経験によって培われたものだ。
 贅沢な空間を指向しているため、ドアを開けない限り、店員は容易に中の様子を覗くことはできないし、一階のボックスに設置されている、監視カメラの類もない。
 フロアの一番奥に位置し、もっとも多くの面積を占有しているのが、「EXVIP」ルームである。
 仰々しい名称だが、簡単なレコーディング程度なら可能な機材を有し、この部屋だけを担当する店員まで付けているという、通常のボックスとはかけ離れた内容の充実ぶりは、名前のインパクトに決して劣ってはいない。

 

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