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ラブストーリー

Home made 恋レシピ 12

   

フミの病院へ向かった二人は、ベッドの上でつまらなさそうにしているフミに苦笑する。
そして顔を出すと、フミは全てお見通しといった感じで、光輝に杏樹を頼むと手を合わせる。
そんなフミに、目を熱くさせた杏樹。
だが、光輝は三人で…と微笑んだ…。

 

病院に着いて、まず先にと書類を提出してからフミの居場所を聞くと、あれからすぐに一般病棟に移ったと言われ、杏樹の肩が下りた。
 ホッとしたように顔を緩めると、光輝が背中を押した。
「早く行かねーと、フミちゃんに怒られそうだな。多分もう、口だけでも元気だぞ、きっと」
「そうだね」
 クスクス笑いながら、教えられた病室へと急いだ。
 そして病室を覗いてみれば、案の定と言ったところか。一人つまらなさそうに、鼻から酸素を入れながらムッと唇突き出している。
「ばあちゃん」
 小さく声をかけて杏樹が顔を見せると、フミの表情が一変した。
「随分放っておかれたもんだね。まったく、どこの誰と乳繰り合ってたんだか」
「ちっ、乳繰り~~~~~!?」
 何を言うんだと、真っ赤に染まる杏樹の顔にニヤリと笑ったフミは、後ろに立っていた光輝にフンッと鼻で笑って、「全く……」と溜息零した。
「しーちゃんや、アンコのお守りじゃ大変だろうけどさぁ……、コレも一人で生きていけるほど強かないのさ。すぐへこたれるから。ばあちゃんだって、いずれは迎えが来る。その時は頼むよ、このとおり」
 そう言ってフミは両手を胸の前で合わせて、寝たまま小さく頭を下げた。そんなフミに、杏樹の顔から表情が消えた。
 いきなり転がり込んで来た理由も何も聞いていないのに、何故か全てを知っているように思えた。そしてそんな孫の為に、手を合わせて頭を下げている。
 どうして、自分のために頭を下げているのか、胸が潰されるような痛みを感じて、目を赤くさせた。

 

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