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ハードボイルド

南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 第四話 企業内要塞学校(8)

   

松下たちが意図的に作り出した隙の合間を縫って、いくつものグループが廃校の中へ侵入していく。

格好は違うものの、それぞれ、いかにも一流といった雰囲気をまとっている侵入者たちを追いかける、という名目で、松下たちも校内への突入を開始した。

だが、そんな松下たちの前に、思いがけない障壁が立ちふさがるのだった……

 

「なるほど、大したものですね」
 一連の動きを見ていたシュウが、ため息を漏らした。
「どういうことだ、シュウ?」
 松下は、シュウに問いかけた。シュウは、何かを懐かしむような、しみじみとした表情をぱっと平静に戻し、松下の方を向いた。
「石を使った窓ガラスの破壊は、それ自体が『心理的なトリック』だったわけです」
 淡々と語るシュウに、松下は聞き返した。
「と言うと?」
「これだけの人が大挙してくるような事態ですからね、確信は持てないにせよ、警備側も薄々は感付いていると思ったんですよ。まったく脅威ではない少年たちを追って、不自然に警備員たちがこの場を去ったのも、校舎内におびき寄せる罠に違いないとね。この二人は、我々とは違い、校舎内作業班とも通じていたようですから、なおさらでしょう。しかし、『罠の巣』と知っても踏み込まざるを得ない。となれば、やるべきはカモフラージュ。目的とは別の階の窓を、単純な手段で壊すことで、『二階にコソ泥が入った』とでも思わせ、注意を逸らそうとしたんでしょうね。だからこそ『本命』には、巧みで静かな侵入方法を使ったわけです」
「……凄いな。現場の状況に対応した上で、それだけの仕掛けを打ったってのか? この二人、本物の大泥棒かね」
 松下の軽口に、シュウは小さく笑い、自らの柔らかい髪をかき上げた。
 雑誌の表紙でも飾れそうなほど絵になるポーズだが、シュウはすぐに表情を引き締め、モニターを指差した。
「もっとも、トリックを使うのは『彼ら』だけではないようですが」

 

-ハードボイルド

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