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幻想 / 夢幻

幻影草双紙12〜スペースの問題〜

   

 せまい日本では、いつもスペースが問題になります。

 

 小谷由実子は、3LDKのマンションを購入した。
 窓からレインボーブリッジが見える高層マンションである。
 このマンションは、ほぼ彼女の希望を満足させるものであった。
 先ず立地条件。
 小谷由実子は、アクセサリーの製作をしている。
 アーティストとしての感性を研ぎ澄ますには、再開発している未来志向の場所が必要なのであった。
 都心に近いから、クライアントに来てもらうにも便利だ。
 一室は生活空間、一室は作業場、そして残りの一室を応接室にした。
 この部屋で打ち合わせをするのである。
 応接室の壁一面には、『世界絵画全集』、『日本美術大全』などの豪華本が並んでいる。
 この多数の本も、マンションを買うことにした動機の一つであった。
 さまざまな芸術作品を見て、イマジネーションを喚起しなければならない。
 寝る前に、一時間は絵画の写真を見ていないと、寝付けない。
 こうした豪華本は、アーティストたる小谷由実子にとって必需品なのである。
 しかし、今まで住んでいた狭いアパートでは、並べることが出来なかった。
 部屋中に、びっしりと積み重ねるしかなかったのである。
 膨大な数である。
 足の踏み場もない。
 もっと広いスペースが欲しい。
 そして今、ようやく、きれいにならべることが出来るようになったのだ。

 3LDKは、ファミリー向けとして設計されたものである。
 彼女の両隣の部屋も、サラリーマンの一家であった。
 マンション全体でも、かなりの割合でサラリーマンの所帯が多い。
 残りは、小谷由実子のようなアーティスト。

 

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