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サスペンス

8月のエンドロール 19

   

 
「親父。マリは×××ってクラブにいる。早く行ってやってくれ」
 父の携帯に電話すると、生憎、留守電だった。念のため池田に連絡したが、こちらも通話中。マリの居場所を知っているのは、タイゾウ、メグミ、シオリの三名だけだった。メグミに連絡するが、こちらも繋がらない。シオリから連絡があったが、出そびれた。
 しばしタイゾウは引っ越し作業の手を休めながら考えた。
 真偽の程は定かではない。
 クラブ×××を調べてみたが、ホームページもなく、比野市の一点にピンが刺さっただけだった。
 冷房が効いているというのに額に汗して引っ越し作業を続ける母が「早く手伝って頂戴!」と怒鳴っている。
 寝起きで手伝っていたタイゾウはすっくと立ち上がると、
「ちょっと出てくる。すぐ戻るから!」
 言い捨てリビングを抜け出した。
 二階の自室に駆け上がり、着替えて父の名刺が入ったリュックを持ち、玄関を開け放った。マウンテンバイクに跨がる。
「タイゾウ!」
 おかんむりで玄関にやってきた母にむけ「大丈夫だから!」と言い置くと、ペダルに力を入れた。
 メグミからのメッセージがぽんと届いたのに、タイゾウは気づかなかった。

 

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