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現代ドラマ

道 最終回 和解

   

 
「話は違うけれど、お父さんのこと、咲さんには申し訳ないんだけれど、やはりしっくりこないのよ。」
「なんだ、まだそんなことを言っているのか。
 しょうがないやつだな。」
「だって咲さんが教えてくれたけれど、お父さんの気持ち、ちゃんと話して欲しいわよ。」

アメリカで修行中の雄介を除けば、啓子、咲、副島、松森治、それに田村。耕三を慕う者は全員揃っている。

  今、本当の気持ちを伝えておかないと、もうそんな機会は無いのか。

耕三はお茶を一口すすると、中空を見つめながら話し始めた。

「私も敬一も絵が大好きで、もっと上手くなりたいと、同じ師匠の下で修行を始めたが、みんなも知っている通り、歩んだ道は違っていた。

 世の中は敬一は恵まれた道を歩み、私はそうでないと思っている。しかし、本当にそうだったのか?
 私は違うと思う。

 敬一は一人でパリに渡り、どんなに苦労したか、誰にも語っていないが、それは大変なものだったのだろう。
 何しろ言葉が違う、生活習慣が違う、そして才能のある奴は幾らでもいる。並大抵の者では耐えられない。
 でも、敬一は生き残ったばかりか、そんな厳しい環境の中でも、貪欲に美を追求して素晴らしい絵を描き、勝ち抜いた。
 恵まれた人生なんかじゃない、自分で勝ち取った人生なんだよ。

 私は彼に教えられたよ。天才を育てるには基礎をしっかりと身に付けさせることも大事だが、高い目標を与えて、それにチャレンジさせることも必要だということを。」

 

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