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ハードボイルド

Egg~ノクターン~episode7

   2016年8月5日  

 そんな私にも、ララは優しくて。ララのその手は、温かくて。そっと私の頭を撫でる。
「守りたい、モノがあるから」

 ―― それが私であれば良いと願うのは、神様……厚かましいでしょうか?

 大人のためのラブストーリー。
 ビターな味をどうそ!

 

「私もバウンティハンターだからさ、これでも一応。何か出来るなら手伝うし」
 レモネードを一口飲んで、また自分の甘さに気付いた。あれ程〝信用しない〟〝仲間なんて有り得ない〟なんて散々言っといて、虫が良すぎるよ。
 だけど、ララは優しく語りだした。
「そう、嬉しいけど、こればっかは一人でやろうと思ってる」
「……そう」
 心配だけど、これ以上自分の甘さ加減を見せるのも嫌で、冷たく言った。つもり。
 ララが続ける。
「C・P・L・F・Mって会社あるだろう」
「?」
「あそこの会社が、あるプログラムを開発したんだ。プログラム名〝G-Z〟。テレビ、携帯、インターネット、ラジオ等といったあらゆるメディアを使って人を殺す為のファイル。一昔前に日本であったろ、あるアニメを見ていた子供達が集団で倒れた。あれと同じ現象だ。そのプログラムが実践されれば、無差別大量虐殺が可能だ。それだけじゃない、第三次、第四次世界大戦の引き金にでもなるし、あの会社が独裁的に世界を手にする事だってできる」
「警察は?」
「警察? フォックスだって知ってるだろ? 警察の情報がどんなものか」
 そう、表で浮上する情報なんかたかが知れている。そのたかが知れてる程度の情報を、警察が嗅ぐだけだ。C・P・L・F・Mは、表上優良会社として有名な証券会社。そこの社長は若くして短期間に一流企業へと浮上した。その割りに謎が多く、社員の事故死が多いからと警察が嗅ぎ回っている様な噂を耳にしたことがある。今の所、怪しげな内容は浮上していない筈。何か解れば、マスコミが必要以上に駆り立てるだろう。だからもしこの話が既に表社会に洩れているんだとしたら、世間様がこんなに静かな筈が無い。
「それで、どうするの?」
 ララが一枚のMOを出して見せた。
「C・P・L・F・Mのメインコンピューターに直接コイツを流し込む。コイツは特殊なコンピューターウィルスでね、挿入した途端5秒もせずに中のプログラムを荒らすだけ荒らして抹消してしまう」
「……危ないね……」
 なんて言っていいか解らず、気の利かない言葉が口を付いた。
「そう、危ないからね。これは俺がやらなきゃいけない事」
 なんで?
「さぁ、寝ようか?」
 ララが笑った。

 ねぇ、なんで?
 なんで、ララがやらなきゃいけないの?

「なんで?」
「え?」
 はっとして、口を噤んだ。
「……ごめん……」
 やっぱり、どうかしてる。
 そんな私にも、ララは優しくて。ララのその手は、温かくて。そっと私の頭を撫でる。
「守りたい、モノがあるから」

 ―― それが私であれば良いと願うのは、神様……厚かましいでしょうか?

*****

 

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