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現代ドラマ

第五話 三流先生、電子書籍作家になる!

   

 三流先生、気を取り直してラウンド2(トゥー)だ。
 B級、いや、C級推理……、いや、ここはあえて、ホラーミステリで行こう!

 ホラーミステリだが……やはり、電子書籍なので「電子」がテーマなのがいいのだろうか?
 そう、例えば、小説投稿サイト「小説家で飛ぼう!」を舞台にした惨劇が起こるとか?
 アカウントを乗っ取られた三流のフリーターの小説ページで小説の殺害予告が出る、と。
 で、次々と連続殺人事件が起こるが、ネットの住人たちには現実感がなく、やれやれ殺せ、と人間心理のホラーを描く……。
 最後は、フリーターが謎の匿名殺人者にスプラッターにされてデッド・エンド……。

 タイトルは、『蜘蛛(くも)は三流しか食べない』なんていいだろう……。

(むふふ……。おぞましい殺人事件がウェブと現実で起こる……ホラーミステリ……。解答編とか推理なんて甘いものはない……なぜなら、これは、三流小説、C級小説!! 論理も理論も理性もありゃあしない、あるのは、三流の怨念のみ!!)

 さてさて、三流先生の今度の勝負、吉と出るか、凶と出るか!?

***

 やがて二週間後……。
 三流先生は、再び、ラーメンをのどに詰まらせる事態に見舞われた。
 そう、先生、なんと今回も、合格したのだ!

 では、頂いたメールを観てみよう。

☆件名:くじらネットブックス 合格のお知らせ☆

 このたびは、弊社にご応募くださりありがとうございました。
 くじらネットブックス編集長の久慈河秀明(くじかわ・ひであき)です。

 三家様の三流ホラーミステリには編集部一同、ど肝を抜かれました。
 三流による三流のための三流スプラッターホラーで、三流の推理すらない三流っぷり、いかにも弊社の作風にマッチした出来具合でした。

 つきましては、契約書をご覧になってくださいませんか。
 契約書の内容に同意くださった場合、メールにて返信願います。

 三家様が弊社でご活躍されることを楽しみにお待ちしております。
 よろしければ、今後ともお付き合いください。

くじらネットブックス編集部

☆以上がメールの引用☆

 つ、つつつ、つまり、合格だ!
 三流先生の快進撃はもはや止まらない!
 先生、自分の三流の才能に己惚(うぬぼ)れてしまったようだ!

 俺は、天才だ、と言わんばかりに、天狗になった先生。
 このあと、先生は、調子に乗って、何を間違ったか、色んな文学賞新人賞に小説を送り、見事にすべて撃沈する未来が待っていた。
 だがそれはまた別の話なので、今回はひとまず割愛させて頂こう。

 で、先生。
 くじらネットブックスの契約書を読んだ上で、返信。
 もちろん、『蜘蛛は三流しか食べない』も指摘された箇所を直して、一緒に返信。

 わくわく、どきどきの瞬間だ。
 先生の電子本は、さすがに商業出版なだけあり、三カ月後、あらゆる電子書店で発売されてしまった!
 もちろん、アリサとコッコにもお礼をしに行った先生。
 ちょっとしたパーティをあげたとさ。

 だが、wkwk,tktk(わくわくてくてく)していたのも束の間。
 ここでも恐ろしく孤独な戦いが先生を待ち受けていた。
 電子出版も、基本的に会社に行くことはない。
 同業やスタッフにも会うことがない。
 ただ、ひたすら孤独に、小説を打ち、送る作業だけが続いていく。
 しかも、今度は本を出してもコメントすら付かないし、それなりの有料なので売り上げもよくない。

 ああ、三流の道とは、氷河なり。
 三流先生、凍えるような吹雪の道を進むのみ!
 この男が歩いた足跡には、きれいな花が咲くのだろうか!?

 

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