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ハートフル

大切な人

   2016年11月18日  

 
~秘かな恋愛意識~
 

秋が深まり、冷え込んできた頃、澄子さんから夕食に呼ばれました。

「おでんを作ったから食べにいらっしゃい。」

私はまだ19歳でしたが、背伸びをして、ワインを買っていきました。どんなワインが美味しいかなんて知りませんから、酒屋さんに入ると、目に入った赤ワインを掴んでとにかくお金を払って出てきました。未成年ですから、それだけでも、心臓がドキドキしてしまいました。

「はい、これ。」
「えっ、何、ワイン?へへぇー、君も洒落たことが出来るようになったんだ。」

澄子さんはちょっとびっくりした様子でしたが、素直に喜んでくれました。

「さては、彼女でも出来たかな?」
「そ、そんなのいないよ。」

澄子さんは料理を取り分けながら、私をからかって楽しんでいました。

「君はイケメンなんだから、声を掛ければ訳ないでしょう。」
「そんな簡単にはいきませんよ。」
「澄子おばさんにはそんな言い訳は通用しませんよ。」

私が「美味しそうですね」と話をそらそうとすると、「今日は君の好みをじっくり聞き出すからね。」と料理のお皿を取り上げられてしまいました。

「意地悪!」
「そう、私は意地悪ばあさん。」

それから、女の子の好みをあれこれ聞かれた上、声の掛け方から、手の繋ぎ方まで、澄子さんの恋愛講座でした。

「ねえ、こんな色々なテクニックを知っているのに、どうして澄子さんは独身なの?」

失礼を顧みない私の発言に、澄子さんは一瞬顔が強張った感じがしましたが、直ぐに「大人には大人の事情があるのよ。」と笑っていました。
 

 

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