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現代ファンタジー

マスクエリア 第五覆面特区〜一章 覆面マネー(5) 

   

真剣極まりないゲームの邪魔をされ、激怒する榊原の関心の矛先を、何とか仕事へ逸らすことに成功した清水だったが、清水は、彼の口からも、見覚えのある異変を聞くことになる。そして、仕事の情報を仕入れようと、操作していたコンピューターのモニターでも「その名」を確認することになるのだった。

 

 清水は、目の前にいる長身で細身の、しかし、必要な分の筋肉はきっちりと身にまとった男、榊原の姿を見やった。
 濃紺と白で色分けされた警備隊の制服は、もう何日も洗濯されていないことが想像できるほど汚れており、凄みのある笑顔の核をなしている眼の下には黒いクマができている。肉付きの悪い頬は、普段よりもさらにこけているようだった。
(ああ、くそっ、やっぱりそうだったか)
 清水は、反射的に榊原から視線を外した。もし、今頭の中に浮かんだ単語と状況が一致しているのであれば、恐らく榊原は、どんなに謝っても許してはくれないだろう。
 だが、それでもまさか、傲慢に胸を張ったりするわけにはいかない。
「す、すまない。榊原。俺としたことがすっかり忘れていた」
「ならば、体で思い出させてあげましょう。二度と忘れないようにね」
 榊原は、清水の本気の謝罪には全く耳を貸さず、右の腰に着けているホルスターに手を伸ばした。中には、警備隊員に支給される銃が入っているはずだった。
 しかも、彼が所有しているのは、大隊長以上にのみ所持が許されている、フルオートピストルである。格闘技能でどうこうなるようなレベルの武器ではない。
「いや、まったく、最近は嫌な事件が多いですね。私の買っている株は一気に暴落するし、島全体の景気も良くありません。おまけに、あともう少しで選抜選出というところで邪魔が入る。あなたのおかげで、また一からやり直しですよ」

 

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