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現代ドラマ

家元 第九部 継承に向けて

   

 
琴乃が小寿々にお世話になった時から、女将の京子は少しでも踊りに専念できるようにと、サポートしていた。

客がいない座敷で稽古することを許したのも、その一つ。夜食にもなる特別な賄い料理を作るように命じていたのも、その一つだった。

次板(つぎいた:副料理長)の正岡達夫は琴乃よりも3歳年上の独り身。住み込みで働く仲居は海千山千の者が多く、料理一筋で、口下手な彼は相手にされない。

そんなところに現れたのが琴乃。彼女も他の仲居とは違い、踊り一筋だから、男と女の駆け引きなどはできない。そんな二人は恋仲になったのは不思議なことではない。

このことは志乃も京子から聞いて知っていた。

「琴乃ちゃんには幸せになってもらいたい」

そう願う志乃と京子は秋には二人を結婚させたいと考えていた。

「さあ、私もいい人見つけようかなあ、ふふふ。」
「もう、真紀子ちゃんは!」

時刻は午後2時。稽古の準備を始めなくてはいけない。

「さあ、出掛けますよ。」
「はい。」

アパートから本部教室である志乃の家までは歩いて5分。

「和義君はどないしてる?」
「弁護士になりたいって。」

和義も大学2年生。あの事件があってから踊りを辞めてしまったが、今は法学部で司法試験を目指している。

「お母さんはいろいろ言うとるけど。」
「弁護士さんは立派よ。」
「うちもそう思うけど・・」

それ以上は二人とも口には出さない。

苑田は新たな時代を迎えようとしていた。

 

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