幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ハートフル

モモヨ文具店 開店中<33> ~日付スタンプを使っての琉華の覚え書き~

   

 
17,12,28
いまが、二十八日。あ、もう二十九日だ。
なんどかおばさんと会って、今日、おじさんはおばさんとくらすことをいった。
るかもりいかも、こっちにおりてくるんだぞと言われた。
りいかはなんにもわかってなくて、そっかー!って元気よく言ってたけど、わたしはどうもしっくりこなかった。
「うちでは仕事だけど、世間では今日が仕事納めだから、ちょうどいいわね」とおばさんはおじさんが作ってくれたご飯をテーブルにならべながら言った。
ご飯を食べておばさんちのおふろに入って、新しいパジャマを着て、歯をみがいて、二階にあがっていくおじさんとりいかをおいかけようとすると、おばさんが、下で、おいでってした。
「ちょっと話をしよう」って言われた。りいかが「るかちゃんねないの?」というからすぐいくっていったけど、気もちはぞわぞわしたままだった。
なにいわれるのかぜんぜんわからなかったけど、いいことじゃないんだろうなぁって思ってた。
おばさんがココアをいれてくれて、どうぞとわたしてくれながら「いろいろあるだろうけれどゆっくりね」と言った。
「無理に家族って思わなくていいし、無理して気持ちを押し殺す必要はない。たぶん、今までいろいろあって突然出てきたわたしたちを信用できないだろうから言っておくけれど、これは琉華ちゃんにとっては利益になることだと思う。りいかちゃんにとっても。その利益に乗っかってくれればお互い気持ちがいいよねってことなんだよ。もちろん、受け取らないという考え方もあるけれどね。気持ちのいい方を選びましょうってことなんだ」
「どーゆーいみ? 気持ちのいいほうをえらんでいいってこと?」
「そうだよ。そのためにわたしたちはいるんだから」
そうかー、気もちのいいほうをえらべばいいんだ。
そう思ったけど、そのきもちのいいほうがわからない。
うーんて考えて、「スタンプある? 日付があるやつ。おじさんにあげたいんだ」と言ったら、「そう」とおばさんはにっこり笑った。笑うと目がほそくなって、なくなってしまうくらいになるのにはじめて気づいた。
それで、日付スタンプをバイト代から出して買ったんだけど、きもちのいいほうってなんだろう。
 

27,09,05
気持ちのいい方を悩んで選んだり、気にせず選んだりしてきた今が、十年後の未来になるとは思ってもいなかった。
わたしはこれからも気持ちのいい方を選びながら、ここで生きていくことにする。
さしあたっての問題は、こんなに書き込んでしまったこの紙をどこにしまっておくか、だろうか。
何年後かに見返したとき、やっぱりわたしは、ここへ書き込みそうな気がする。
わたし自身との会話として。
ともあれ、今日も、仕事、お疲れ様! 新作のカフェメニューは好調です!
 
 

日付スタンプを使っての琉華の覚え書き
CLOSED

 

-ハートフル
-, , , , , ,

シリーズリンク

レビュー

この作品はいかがでしたか?
あなたの感想を送って、作家を応援しよう!

レビューを書く

おすすめ作品

迷い人に孫の手を3<3>

モモヨ文具店 開店中<2> 〜真夜中疾走ノート〜

男子会①

私たちの結婚

モモヨ文具店 開店中<21> 〜直くんと出奔〜