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恋愛 / ラブ・ストーリー

渚-nagisa-(2)

   2008年11月21日  

「げっ! 木下っ!!」

 弘樹の口から思わずそんな言葉が漏れた。

 木下は、かなりガッチリした体格をしている。一見、格闘技をしているような体つきではあるが、その恵まれた身体はスポーツにはいかされず、毎日喧嘩のためだけに使われていた。以前は甲子園を目指していた野球少年だったという噂が流れていたが、それも定かではない。木下はジロリと弘樹を見た後、何も言わずに教室の中へと足を踏み入れた。

 タケルはあたまに何か別の生き物でも乗っかっているようなリーゼントをしている木下を見るたび、いつもあることを思っていた。だが本人の前ではもちろんだが、他でも口にすることなんてできない。その言葉を口にしたらきっと半殺しの目に遭うとタケルは思っていた。だがタケルはそう思いながらも、心の中に湧き上がる、その思いを隠さずにはいられなかった。

 木下のリーゼントは、前方にあまりにも伸びすぎていて、まるでスネ夫のような髪型になっていたのだ。タケルは必死で笑いを堪えていた。ふと横を見ると、弘樹も必死で笑いを堪えている。弘樹も心の中でタケルと同じ事を考えているようだ。

(それはそうと何故、スネ夫……もとい、木下がこのクラスに用があるのだろうか……)

 タケルはそのことを少し不思議に思っていたが、そのすぐあとに、木下が放った言葉で、その謎が明らかになった。木下は窓際で机の上に座っているハルカに近づくと、二人が思ってもみなかった言葉を口にした。

「ハルカ、今日、俺の家、寄っていけよ……」

 

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