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伝奇時代

生克五霊獣-改-4

   2017年12月15日  

 辛い旅路が続く中、晴明は一旦形ばかりの仲直りをしようと提案するのだが……。

 伝奇時代小説!

 

 晴明からの配膳と言葉と、そして明日からの旅の不安に押し潰されそうになっていた。
 仕方なく、夕餉を食べながら泣くしかなかった。
 こういう時の、時の流れは早い。早々に夜が開け、侍女に身支度を整えられ、二人見送られる。
「晴明、葛葉をしっかり護ってやるのだぞ。男子は、お主しかおらんのだから」
「葛葉、しっかりな」
 葛葉に声を掛けたのは、法眼だけだった。側室の女子、正室の嫡男で跡取り。その差は、見送りの時にしっかりと見せつけられた。
 藤緒の見送りは許されなかった。建物の中から、娘の事を案じるしかなかった。不憫だが、それが女子の運命だからと飲み込むしかなかった。
 けれど、晴明は晴明で優越感を感じている訳では無い。
 葛葉を護るのは男子だからではなく、葛葉が本当の跡取りだから。俺は所詮護衛としてでしか必要とされていない、何処に行ってもそうだと。その悔しさで溢れていた。この女が死ねば、消えれば、自分がこの家に収まり、母上も俺も開放される。と、本気で思っていた。陰口さえ、叩かれなくなると。
 見送る者までも、陰口を言っているような気がしてならない。
「父上、行って参ります」
 晴明と葛葉は屋敷に向かい、軽く会釈した。
 二人歩き出す旅路は、ずっと長い。

 

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