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恋愛 / ラブ・ストーリー

オクターヴ上げて奏でる[4] レイニー・デイズ・アンド・マンデーズ

   2017年12月27日  

奏子と距離を縮めた彰は、天にも昇る気持ちでいた。
そして、放課後のCDショップで奏子とピアノ曲のCDを選んでいると、そこで偶然に出会った崇が原因で、二人は事件に巻き込まれる。

 

 天にも昇る気持ちとは、このことだ。学校へ着いた僕は、今朝、奏子さんと過ごした時間で、今日の一日を終えた気分だった。
「おい、彰、おい、起きろよ。」
 奏子さんと手を繋ぎながら、草原のような場所を歩いていた。
 タンポポ畑だろうか、足元には沢山の黄色い花が咲いていて、奏子さんは、その花を見ながら嬉しそうに笑っていた。
 僕は少し疲れて緑の上に寝そべると、そのまま寝てしまったようだ。
 奏子さんは、かまってほしいのか、「ねぇ、彰君、起きてよ、ねぇ。」と、僕の体を揺さぶってくる。
 ねえ、彰君、起きてよ。……ねぇ。……おい、彰、起きろよ。……
 瞼を開くと、寝ぼけているのか、奏子さんの顔が崇そっくりに見えた。
「あれ、奏子さん、……」
「カナコさんじゃねぇよ、もうホームルーム終わっちゃったぞ。」
 徐々に意識が戻ると、呆れた様子で僕を見ている崇の顔が、はっきりと見えてきた。僕は教室で寝てしまい、更に夢の中でも寝ていた。……
「あっ、ごめん、ごめん。えっと、……一時間目なんだっけ?」
「一時間目じゃあねぇよ。もう、帰りの時間だよ。お前、学校来てソッコー寝ちまったじゃねぇかよ。」
 それには自分でもびっくりした。考えてみれば、こんなに早起きしたのは中学校の時にバスケ部の朝練に出ていた以来だ。
 そして僕は、学校に着くが早々、朝のホームルームから帰りのホームルームまで寝てしまっていたようだ。
「起こしても起きないから、横田、すげー怒ってたぞ。……有田なんて、起こすと面倒だから寝かしとけなんて、嫌味いってたし。……」
 あの騒動を起こしてから、登校してきたと思えば授業中に寝ているだけなのは、僕が教師でも怒るのが当たり前だと思った。

 職員室を訪ねると、今日一日の態度を横田先生に謝った。昨日の対応とは裏腹に、今日は他の先生達が驚いてしまうほど、大声で怒られた。そして、そのままの流れで有田や、今日の授業で教室を訪れた先生達にも謝るように言われた。
 有田には、先日の件も含めて謝罪すると、「一丁前のことばかり言って、やっていることは半人前なんだよ。」と言われた。
 物の言い方は癇に障ったが、今日の僕には返す言葉もない。
 横田先生が人前であんな怒り方をしていたのは、僕が他の先生に怒られない為の計らいだと思えば、その好意を裏切る真似もできない。
 それに、今日の僕は幸せの絶頂にいるから、怒られることを苦に思わなかった。

 

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