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ハートフル

ある再婚

   

 
大怪我
 

孝雄に背中を押され、久し振りに参加したバレーボールだったが、やはり以前とは違う。ついていけると思って力いっぱい頑張り過ぎ、太腿の裏を痛めてしまった。

「お母さん、やめてよ。」

20歳の娘から言われたが、せっかく孝雄に紹介してもらったのだから簡単に辞めるわけにはいかない。2ケ月、じっくり治して復帰する。

「それ、決めろ!」

孝雄が応援団長となって声援を送るので、図書館の職員も応援に駆けつける。

「三浦さん、凄い!」
「やっぱり本物よね。」

一躍、図書館中の人気者になったが、やはり年齢には勝てない。

晩秋の冷え込む体育館での試合の最中、調子よくアタックを決めたと思った瞬間、「バッチン!」と音がし、左足かかとに激痛が走った。

アキレス腱断裂だった。

「由美子、大丈夫か!」

応援席から飛び出してきた孝雄は由美子を抱き上げると、自分の車で病院に直行した。

「手術は午後7時からです。」

そう告げられ、病室で待っている時、「お母さん!」と娘の明美が飛び込んできた。

「だからやめてって言ったじゃない。」

彼女は母の様子を気遣いながらも、孝雄をずっと睨んでいた。

翌日から生活が一変した。

なにしろ、左足は膝上までギプスで固定されているから、トイレに行くのも一苦労だった。

しかし、「明美はどうしているのか?」と頭に浮かぶことは娘のことばかりだった。

術後5日目、ようやく退院。

「お母さん、よかったね。」

娘が迎えに来てくれたが、孝雄の姿はなかった。
 

 

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