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恋愛 / ラブ・ストーリー

君がいない世界なら、僕は生きていけない・1

   2018年1月10日  

 騒然となる交差点内は銃の音もかき消す。一発だけでは、なにか弾けるような音はしたが様々な音が突飛しているため誰も気にとめていなかった。

 密集した場所で何が起きていたかを知るすべはない。

 男は動かなくなったおもちゃを無視し歩みを進めた。

 女は悲鳴をあげたいが、恐怖に脅え愛する彼氏を失ったことでパニックになっていた。彼の死を受けいれるのに理解できず、思考はほかのことを遮断している。

 ゆらりと歩く男は右手を前方にかざし無作為に引き金を引いた。交差点の中心で悲劇の幕が前触れなしに上がった。不安と恐怖と混乱が波紋する。

 連発のピストルの発砲音はさすがに人の聴覚を刺激し異質として不安を煽らせた。

「パンパンパンッパンッパン」五発もの連射が交差点で火花を散らした。

 逃げ惑うが混雑が他人を押し退けようとしても阻まれて逃げだせない。

 いつのまにか粉雪が降り積もりはじめていた。白い粉雪に鮮血が混じりあう。人が射殺されていく。

 店から流れるBGMの音楽が人々の叫び声と不協和音を引き起こし、金切り声にも似た発狂が稲妻のように轟いていた。もうすぐこの場は、嵐が吹き荒れるだろう。

 耳鳴りのような痛みが矢のように降り注ぎ、唐突に物語の主役たちはエンドロールを流されている。命を奪われるとは誰も予想だにしていなかった。それをこの男は一人でやってのけた。

 最悪は続いた。全弾撃ち終わったあと、赤いとんがり帽子をかぶった男は左手をこめかみに当てた。

 もう一挺、ピストルを隠し持っていた。

「グッンナァーイ!」

 男は下品に舌をだして嘲り笑う顔のままでいいらしい。

 赤いとんがり帽子は発砲音とともに男の頭から吹き飛んだ。

 右手のピストルを抛り捨て、誰に向けるわけでもないが世界に手を振っていた。未練というものがないのだろう。躊躇う顔をしていない。そのまま別れを告げ引き金を引いて自殺した。

 

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