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現代ドラマ

須磨子 第二話:不倫

   2018年1月29日  

 
不倫
 

前日からの冷え込みで、雪がちらちら舞っているので、せっかく花ひらいた梅を見てあるくには寒すぎる。

午後1時30分、約束の時間まで30分もあるが、須磨子はパレスホテルのロビーに入った。

「Mr FRANCO・・・」
「Nice meet to you・・・」

  アメリカからの観光客かしら・・

多くの人で混み合っている中、須磨子はコートを右手に抱え、ティールームに向かおうとした。その時、「早かったね。」とジャケットにスラックスの軽装の金井に呼び止められた。コートも着ていない。

「寒くないの?」
「資料整理が間に合わなくて、ここに泊まっているんだ。」

彼は須磨子のコートを取り上げると右手に抱えた。

「よく似合っているよ。」
「え、これ?」
「うん、いいなあ。」

須磨子の服装は濃い茶色のカシミアニットのセーター、それに英国調チェックの長めのスカート、彼は気に入ったようだ。

「さあ、行こうか。」
「はい。」

須磨子の背中に軽く手を添えて歩き出したが、ティールームではなく、エレベーターホールに向かっている。

「あ、待って・・」
「いいから・・」

こうなることは分っていたが、いざとなると道徳的躊躇いが出る。立ち止まろうとする須磨子を金井はその肩をギュッと抱き締め、そのままエレベーターに乗り込んだ。

 

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