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現代ドラマ

須磨子 最終話 一番大切なもの

   

金井との関係は続いていた。

「午後2時。」と言われれば、ホテルに出掛け、抱かれる。しかし、その関係は結婚を求めるものでもない、会って抱き合うだけ。

須磨子はそれに溺れる自分が怖くなっていた。

だが、夫の目はごまかせない。帰宅が遅い須磨子に「間違ったことはしていないよな?」と問いかける。須磨子は足が震えていた。

そんな折、10年ぶりに開かれた大学同期会で、金井は大学教授ではなく、予備校教師だったと知った須磨子は動揺する。

私はいったい何を求めていたのか・・

 

 
溺れる日々
 

一度越えてしまうと、もう止めることなど出来ない。

「午後2時。」と言われれば、躊躇いはあるものの、待ち合わせのホテルに出掛けていく。

「あなた・・」
「須磨子・・」

もう直ぐ55歳になる金井は時間をたっぷりかけて須磨子の体を愛撫し、高みに導いていく。

「あ、あなた、あなた、い、いい、いい・・」

ベッドが軋み、須磨子を抱き抱えた金井がペニスを雌蕊に挿し込むと、須磨子も両手でしっかりとしがみつき金井を迎え入れた。
そして金井の腰が緩やかに動き始めると須磨子もそれに合わせて腰が動く。

「あ、あ、ああっ、あっ、あっ、あっ、うっ、うっ、うっ、ああっ、あああっ・・」

須摩子は切ない喘ぎを漏らし、金井は須磨子の中に激しく射精した。

部屋には二人の息遣いの他は何も音がしない。

金井はぐったりしている須磨子を抱き寄せ、優しく唇を重ね、須磨子もそれに応えた。

「ねえ・・」
「どうした?」
「前のように英文学を教えて欲しいな・・」

胸に指で字を書いて甘える須磨子を抱き締めると、金井は「ははは、大学生の時みたいだな。」と笑っていた。

そして、「私の方こそ、須磨子に英詩を教えてもらいたいよ。」と再び須磨子の体を求め、須磨子も「あ、いやん・・」と彼の腕の中で悦びの声を上げ、そのまま眠ってしまった。

気がつくと、午後5時近く。慌てて身繕いを整え、タクシーを捉まえた。

結婚を求めるものでもない、会って抱き合うだけの関係。須磨子はそれに溺れる自分が怖くなっていた。

 

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