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現代ファンタジー

なな★しき ~次元管理員 七尾と志紀子~ 第17章 過去が変わらないなら

   

「宮小路志紀子くん。君に、次元管理機構へのさらなる協力を要請する」
今動けるのは自分だけ。最下層へ行くことのできない七尾に代わり、志紀子が動く。

そんな中、次元壁の核がまたもや異常を示す。
次元世界の崩壊へとつながるそれに、事態は急転していく。

 

《次元壁の核が起こした異常は、こちらの次元観測システムでも確認された。さらなる詳細を頼む》
「はい。──現在、次元壁の核は本来の結界範囲から逸脱し、その影響が拡大されたようです」
 志紀子のテレポートで最下層から脱出した七尾は、上層部にある通信室から次元管理機構の上司へと現況報告を行っていた。
「基地上層への影響は今のところ出ていませんが……、最下層への出入りは、俺では難しくなりました」
《……しかも、次元壁の核では、グランバル支部長とオリバー・サイボルトが交戦中……か》
「これまでの状況から、オリバーの相手はグランバル支部長に一任する判断をしていたのですが、事態が大きく急転しましたので、報告がてら指示を仰ぎたく」
《そうだな。うむ……》
 想定以上に事態が深刻なのだろう、上司との通信の背後で職員らしき者たちの声や走り回る音が、せわしく響いていた。
「次元ゲートの修復は、その後どうですか?」
《相変わらずだ。未だ復旧の目途は立たっていない。よって、そちらへ応援を送ることもできない……》
「……そう、ですか」
《今動けるのは、志紀子くんだけ……。いや、だがそれは》
 その志紀子は、七尾の隣に付き従っていた。
「私はかまいません。遠慮なく命じてください」
《いやだめだ。君は本来、民間人の立場なんだ。今回協力してもらっただけでも大変な危険に晒してしまっているというのに、これ以上は……》
「いいえ」
 その躊躇を、志紀子は強い否定で一掃した。
「お気遣いありがとうございます。ですが、私の能力は〝民間人〟という括りから大きく外れています。祖父の代から続く次元管理機構との繋がりも、理解しました」
《いや、だが》
「この非常事態は、次元世界全体の危機であり、次元管理機構にとって失敗するわけにはいかない局面のはずです。現状で動けるのが私しかいないのでしたら、どうぞ使ってください」
《……!》
 その揺るがぬ決意は、次元の向こう側にも覚悟を固めさせるだけの力を持っていたようだ。

 

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