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風刺 / ユーモア

ポスティング・ポスト(後)

   

何かの嫌がらせのように執拗なポスティングにも耐え抜き、野口たちは妙なポストを完成させ、半金を貰った西崎のもとに向かった。

西崎の会社は実体の伴う立派なものだったが、そこに集う人は、どこかビジネスマンっぽくない雰囲気があった。また、実際に話してみた西崎は、何やら妙に羽振りが良く……。

 

──ガタッ、ガタン──

「ぐああ、うるせええっ、もう夜の三時だぞ。せっかく人が集中してるってのによ……!!」
「落ち着いて下さい。今俺らはいないことになっているんですから」
 難しいとこもなく、作業は進んでいった。
 ただ、昼となく夜となく訪れる「招かれざる客」だけは、二人を辟易させた。
 そう、ポスティングである。朝の五時から深夜三時以降、つまり二十四時間休むことなく、誰かしらがチラシを持ってくる。
 その種類は百科事典でも作れそうなほどに多彩で、刷り方も片面に両面、多色刷りと様々だが、その「使えなさ」だけは一貫していた。
 どう考えても工場にシャンデリアは必要なさ気だし、高性能クルーザーを欲しがる従業員は皆無だろうとも考えるが、配達者は一切そのあたりを考慮しない。
 この多さと無遠慮さは野口もかなり堪えた。夜中の二時に「世界一周旅行」と「アジアクルーズ」、「地中海客船の旅」という不要極まりないチラシを郵便受けに満載させた奴らに関しては、正直殴り飛ばして海賊船にでも乗せてやろうかと思ってしまったぐらいである。
 しかし、いくら厄介な要素があるとは言え、野口たちはプロであり作業は簡単だったので、日をまたいでも仕事自体はスムーズに進んだ。
 一月後にはすべてのポスト風の物体が完成し、西崎から半金が振り込まれていた。設置された段階でもう半分を送金してくれるのだという。

 

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シリーズリンク

ポスティング・ポスト 第1話第2話

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