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現代ドラマ

昭和の事件 第一話 真夏の悪夢

   

来年には天皇陛下が退位されると発表され、「平成」も残り僅かとなりましたが、その前の「昭和」とはどんな時代だったのか?まだ生まれていなかった読者も多いと思います。

筆者は皆さんより年長で、昭和30年代、40年代、50年代と、貧しかった頃から豊か世の中に大きく変わっていく時代に生まれ育ちました。

そこで、今回は実際に見聞きしたり、噂に聞いたことをお話ししましょう。

第一話は、遠い50年以上も昔、盆踊りの夜に起きたおぞましい強姦事件とその顛末です。

***

今日、千葉県館山市のある竹工房で、その主である浅野小枝子の葬儀が営まれた。

「いい人だった。」
「子供たちが可愛がってもらった。」

葬儀に参列した誰もがそう口にしていた。

そんな彼女だが、過去の出来事を背負い、一生涯独身だった・・・

 

 
プロローグ
 

需要は多くはないが、今でも竹製のかごやざる、それに熊手を求めるお客さんはいる。それらは機械ではできない。どれも、職人が一つ一つ竹から仕上げたものだ。

竹割りを切り口に合わせて真っ直ぐにあて、木づちで叩き、それから手元に引く。すると、プシューと音がして正確に六つに割れる。

これは簡単なことではない。力も要るが、竹の特性が分っていない、竹を同じ幅で裂くことは出来ない。

千葉県館山市のある竹工房では、職人たちが黙々とそれに取組み、材料作りに励んでいる。

その竹工房で、今日、その主である女性の葬儀が営まれた。

「いい人だった。」
「子供たちが可愛がってもらった。」

葬儀に参列した誰もがそう口にしていた。

故人の名前は浅野小枝子、享年70歳。遺影はまだ元気だった3年程前に撮影されたもので、髪には白いものが交じっているが、とても品の良い顔をしている。

「お姉さん、あちらでもお祖父ちゃんが守ってくれるから。」

仏壇には、故人の位牌と共に、どんな時も命がけで守ってくれた祖父、健太郎の位牌も供えられている。

喪主である故人の妹、朋子はその前で静かに手を併せた。
 

 

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