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恋愛 / ラブ・ストーリー

君がいない世界なら、僕は生きていけない・18

   

 作戦6、渋谷の警察署に単身乗り込んで羽場戸先生が説得した。まだ起きてもいない事件と、渋谷の問題的な一面をこれで解消できる大きなチャンスであると説得したのだ。

 細かな経緯を聞かれたが、それは偶然にも目にし、尾行して何が起きているのかを一連の流れを目撃したと先生は嘘をついた。

 こうなる図式を企てたのは羽場戸先生だった。

 一網打尽。警視庁の機動隊も出動し、渋谷界隈の奇妙ないたずら行為と騒ぎの発端グループの悪鬼を潰せることに喜々としていた。

 渋谷警察署に訪れた羽場戸先生は説得を試みた。最初は信じてもらえなかった。それもそのはずだ。地獄絵図になるきっかけが起きる。だからその二つの組織を壊滅に協力してほしいといって、もちろん手を貸しましょうと快く引き受ける刑事がいたら、それは事件もなく退屈な日々を送っている怠け者くらいだ。しかし残念なことに、そんな刑事は一人もいない。

 ある方法を使って刑事を認めさせた。渋谷警察署と警視庁の協力を得て、二つの組織壊滅計画でこれを実力行使で鎮圧する。

 武装兵器によって渋谷が火の海になることを夢物語で聞かされた刑事はイカれた中年男が教師だと自称するが、なら業務威力妨害で逮捕しようとすると脅してみたところ食い下がることなく切り札を提示するように先生はある情報を献上した。

 それは、麻薬と武器流通の情報だった。これは半分嘘で半分本当だった。

 麻薬は羽場戸先生の勘ちがいで済むが、両組織が地下のビルで本当にピストルの銃口を向け合っている未来を見ているからこその自信だった。

 俺は聞かされていなかった。

 白咲のことを調べて麻薬の運び屋をしていると写真をみせた。先生は嘘を並べ立てた。

 もちろん良質な小麦粉を食材にするためのものだ。誤解を招くのはこういうゴシップが原因だというものだ。

 アンチズも勘ちがいした、これを逆手にとった証拠として警察に献上してみた。

 ほかにも武器流通があり、運搬を手伝っているところの写真をみせた。聞き耳を立てている刑事たちはその情報に信ぴょう性を感じた。

 そこに写っているのは誰だかはわからないが、たしかに武器っぽいものを運搬している写真だった。

 一見には信用はできないが、それでも確認しないことには始まらないし、始まったときに手遅れになる可能性のある事案は未然に防ぐことが最優先となる。

「役に立つ情報ですよね?」

 刑事は、疑いの目を向けながらも、一教師がどうしてこれほどの写真という証拠で持っているのかが信じられなかった。

 加工されているわけではないという見識だった。

 たしかに、といって頷いた。

 刑事たちの目の色が変わった。これが前日の夜の決断となった。

 どのみち調べる価値はある。その線で渋谷界隈を探っていたのは刑事たちだったからだ。一介の教師が裏世界の話をここまで詳しくしっているのは怪しすぎたが、それはなにか大事なものを取り戻すためだといった。

「逮捕します」逆にこうなりかねない。だから、さらにある情報提供をする。

 12月21日土曜の正午に両組織は対峙する。その場所がどこになるかはすぐにわかる。わかった時点で教えるから、こちらも両組織を抑制し逮捕してもらいたい。一網打尽。広がらない抗争によって渋谷区域の壊滅は免れる。

 先生の訴えの裏付けはない。だが、そこにいた刑事たちはこの一教師の訴えを本物だとし、警察はついに動く構えとなった。

「煉獄会の構成員の名前とアンチズのメンバーとアジトを教える」

 警察は躊躇った。この組織は地域に貢献している。我々もよく知っているんだ。疑いはない。

「はい、そうです。だから彼らには内緒ですが、その若者たちをどうにかしないとならないため、ここは一肌脱いでもらいたいわけです。隠密ですが」

「あぶり出しか」刑事の一人が納得するように頷いてくれた。

 その情報は警察も欲する情報だった。特にアンチズのメンバーだ。一人も逮捕できずにいるいたずら小僧どもだったからだ。

 警察も公表していない情報を一介の教師が知っていた。疑う意味がない。年齢も離れて教師という立場でいる。更生したい教え子がいるといわれれば信じないわけにはいかない。

 この情報をさらに過去に戻り同じ刑事に教えた。過去にいって記憶を上書きをさせることで更生させたい教え子の名前がアンチズの首謀者であると合致させる。この伏線はすでに俺と出会う前に植え付けていた。

 沙良が射殺された犯人の身元を報道局に教えたのが羽場戸先生だった。白咲のこともそうだが、何度も行き来したことで地道な伏線を引いていたわけだ。

 これにはさすがに驚いたが、羽場戸先生は自分を護るために俺が衝動を起こさない人生を裏から加工していたのを聞かされたときには心底涙が流れた。

 これらすべてが羽場戸先生の奥の手だった。
 
 

≪つづく≫

 

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