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恋愛 / ラブ・ストーリー

君がいない世界なら、僕は生きていけない・19

   

 事態はおさまった。

 クリスマスイヴまであと三日ある。

 不穏な組織二つを一網打尽できたことに俺は恩師と手を組んでよく戦い抜いた。最高の幸せを得られると思った。

 だが、恩師はさらに俺にもまだ教えていなかった事実があった。

 あの抗争はフェイクだと。そしてその真相を聞いたとき蒼白した。

 それでも俺は恩師の裏工作の策略がまさかここまで非道的なものとは予測、いや未来にいって見ていたというのであればこれほど軽く策を授けるのは無責任だと思った。

 それでも未来で起きる大惨事を思い出させた。俺はそのことを一瞬忘れていた。

 恩師は誰よりも心を痛めて、策を講じたのかもしれない。

 しかし、アンチズの手には本物のピストルが…

 そのことについて球体を使って過去にいける方法があるのに、羽場戸先生はもういいだろうと言った。

 だがその甘さのせいで…

 

 機動隊に応援を要請し戦略を教示した。場所もわかったと刑事に伝えた。もとより羽場戸先生が監禁場所を把握している。これもすべて羽場戸先生のシナリオどおりだ。すべては明るい未来を照らすため。

 このままでは2035年の2月以降、この渋谷は警察でも手に負えない大惨事になってしまう。

 警察としてはその未来のことについては鵜呑みにはしない。だが、今起きていることには関心は十分にあった。

「未来や過去はどうであれ、いまその引き金となる抗争がはじまる。若者の集団アンチズと渋谷を牛耳る煉獄会の抗争はかねてから耳にしている。一網打尽にできるチャンスだ」

 署長は声を張り退屈な時間を興奮し埋められることに一喜一憂していた。

 過去より未来より今だ。それが説得させる口説き文句だった。羽場戸先生ですら驚いた。

 時間を行き来できる立場であるのにもかかわらず、今このときを生きている頭の固い刑事たちの心を動かしたのは現状の幸福を死守することが鍵となる。

 過去にいって記憶を上書きして説得させる方法。自らの話術で説得させることができて、安堵していた。

「堅実な人たちだな、わたしとはちがう。それが一般人の生き方か…」羽場戸先生は改めて信ぴょう性を感じていた。「朔護くんもそういう人物なのかもしれないな。だからあれだけ必死に恋人を救いたかったんだ」

 俺は恩師にそう言われて少し照れてしまった。

 

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