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伝奇時代

生克五霊獣-改-36

   

「母上が……一緒に……死のうと言うんだ……お蝶姉さんのように……里のために……だから、俺……新月との約束……守れない」

 時代伝奇ストーリー!

 

 蜃が、溜め息を吐いた。
「あれが、鬼共の封印場所だと教えなかった我々にも責任があると。処分はこの程度で済んだのだが……大変なのは、これからだ」
「私達は、お蝶姉様に言われて眠っていて、事の次第は知りませんの。けど、またあの時のように鬼を退治することは出来ないのですか?」
 蜃は、苦い顔をした。
「あの術は、危険すぎる。それに大きな力を必要とするから、一生に1度しか使えんのだ。もし、あの術を使うのだとしたら、次は俺。だが、誰が犠牲になるのか」
 新月は何も言えず、ただしゅんと黙りこくった。
「蜃様、新月は蜃様にお話したいことがあります」
「なんだ?」
「この件が片付いたら、聞いてくださいますか?」
「今では、いかんのか?」
 新月が、コクリと頷いた。
「わかった。全てが終わったら聞こう」
 やっと、旬介の居場所がわかった。新月は蜃から離れると共に、地下の独房に向かった。が、途中で葛葉と鉢合わせた。酷く疲れた顔をしていた。
「新月、旬介に会いにいく気か? 蜃から聞いたのか」
 新月が否定も肯定も出来ずにいると、葛葉は彼女の肩を逆方向に押した。
「それは、いかん。情けを与えては、罰にならん」
「いつまでですか?」
「まだ、決めておらん。けど、当分は無理だ。これでもまだ、軽い方だ」
「これから、どうなるのですか?」
「どうにかする。案ずるな」
 新月の目に不安の涙が、うっすら浮かんだ。

 

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