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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理 【ぼくらのガーベラ】2

   

 茨城県へ出張となった御影と輪都。互いに譲れない妙なプライドが二人の間に溝を深める。

 相変わらずの旅行気分の輪都。田舎でも都会でも関係ない、依頼があれば頭脳を働かせて御影探偵は依頼に臨む。

 静かでのんびりとした田舎の田畑が広がる平野地。

 そんな場所で事件が起きた。

 依頼人の家屋へと到着するとエンジン音が聞こえたのか、玄関から人が現れ東京の探偵と話すと、二人を見たご老人は、どこか息詰まるようにがっかりしているのがわかった。

 役不足を外見で判断された御影はいっそうやる気が込み上げていた。

 

 山間が遠くの方で小さく盛り上がっていた。

「このあたりは平野が広がりつづいていますね」輪都がめずらしく声を発した。

 標識を見上げると茨城県つくば市に入ったようだ。

「穏やかな場所だなぁー、田舎とはいえ、いいとこじゃないか…」

 御影は見知らぬ土地へと踏み込んで感傷に浸った。

「こういうところもわるくない」一人頷きながら小トリップしている気分でいた。

「田畑が広がって住み難そうだけど。コンビニがない」

 輪都は都会のわりと中心に近いところに住んでいるから斜めの角度から、しかも鋭角に揶揄していた。

 御影の感激は一掃された気分に憤慨していたが聞き流した。

「もうすぐ、依頼主のところだ。町外れだからコンビニとかはない」御影は運転しながらぼそっと隣にいる輪都に伝えた。

「そうですか。昼前ですから、どこかで昼食をとってから伺いますか」

 相変わらず御影以上の旅行気分者だ、こいつは。

 御影は何も答えなかったがまぁそうなるだろうと思った。きっと事前になにがあるか、ここら一帯の地域を調べてきているのだろう。

 田舎と見下していたというのに、この地域を満喫しようとしている。すでにパソコンをひろげてパチパチとインターネットで検索していた。

「わるいがそんな暇はないぞ。さきに依頼人のところに行く。飯を食べたければその辺のスーパーマーケットでいいだろ」

 輪都は無言だった。しかも絶望的な顔をのぞかせていた。

「芝原さん、という家だ。わかるか?」問答無用だった。輪都の悲愴な沈痛心は無視された。

「あのへんじゃん」窓の外を向くと、適当に指を抛るようにして示した。たしかにもう近くまで来ていたが輪都は仏頂面で答えていた。

 そこまで飯を食いたいか、と御影は握るハンドルに力がはいっていた。

 

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