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現代ドラマ

鈴子 第一回 出会い

   

昭和52年(1977年)5月、鈴子は京都の小さな呉服屋、中西呉服店の次女として生まれた。

「鈴子はお姉ちゃんがおらんとダメやね。」

祖父母に笑われていた通り、何をするのも、3つ年上の姉の晶子の後を追いかけていが、高校3年の時、「東京の大学に進んだら」と担任の先生に進められ、人生は大きく変わった。

しぶしぶ東京行きを認めた母だったが、「結婚するまでは処女を守れ」と厳しく言い含められた。

そして、上京。そこで、生涯の親友、水野陽子と知り合い、不安だった東京での生活は彼女のお蔭で楽しくなった。

「鈴ちゃん、合コン、行かない?」

恋の手ほどきも彼女だが、相手を決めるのは鈴子。ある日の合コンで不器用な大学院生、大木健一と知り合う。

二人は将来を語り合う仲になるが、卒業後は鈴子は京都に戻り、大木健一は東京で就職する。そんな不安が二人の心を揺さぶる。

 

 
呉服屋の娘
 

昭和52年(1977年)5月、鈴子は京都の小さな呉服屋、中西呉服店の次女として生まれた。

通りに面した間口八間の店舗、奥へと伸びる細長い、典型的な町屋。家族は祖父母と両親、それに3つ違いの姉の晶子の6人だった。

家の中は子供が中心だが、「晶子、ちょい、こん浴衣を着てみよし。」と祖母に姉が呼ばれれば、「うちも」と姉の傍を離れなかった。

「鈴子はお姉ちゃんがおらんとダメやね。」

祖父母はそう言っていつも笑っていた。

それは家の外でも同じだった。

「お姉ちゃん、どこに行くん?」
「学校や。」
「うちも行く。」
「鈴子はまだ3つや。学校は行かれへん。」
「いやや。」

こんな具合だから、姉が書道、茶道、華道の習い事に通えばいつもついていく。

「こん子はいつもお姉ちゃんやな。」

母親があきれるくらい姉から離れなかった。

だから、小学校は近所の公立小学校だったが、中学からは姉に倣い、市内にある女子大の付属に通った。

「同じ学校やから、ええやね。」

姉妹揃って私立に通う、親とすれば大変だが、3つ違いとは、こちらは親には好都合だった。姉が中学を卒業すると、鈴子が入学する、高校もそれの繰り返しで。制服は姉のお下がりだった。それに、何事につけ、「お姉ちゃんを見習いよし。」と言われる。
 

 

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