幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

伝奇時代

生克五霊獣-改-41

   

 蜃と旬介の、初めての真剣練習試合。
 皆が見守る中、勝利したのは……。

 時代伝奇ストーリー!

 

「そうか。直ぐに準備しよう」
「明日、剣術の相手してください」
「ああ。けど、無理はするな。十二分に休めよ」
「うん」
 久しぶりに、十二分に飲んで食べた。沢山話もしたし、歌も踊りも楽しんだ。
 あっという間に夜も更け、疲れもあって、その晩は死んだように眠った。
 次の日の早朝、山修行のお陰で旬介は誰よりも早く目が覚めてしまった。いつもなら、朝の身支度、朝餉の準備を始める時間だ。けれど、今は家。いつもなら朝からヒリヒリ痛む憂鬱な指先も、葛葉のお陰でなんの支障もない。
 もう少し寝ようかと思ったがそれも出来ず、誰よりも早く身支度を始めた。その音に気付いた新月が目を覚ましてきた。
「おはよう。早いね」
「おはよう。起こした?」
「ううん、大丈夫。私も起きなきゃ。ごめんね、準備手伝うね」
「いいよ、大丈夫。1人で出来るし」
 なんだろうか。新月の目にほんの少しだけど、旬介が頼もしく見えた。
「じゃあ、朝餉作るね」
 新月は、急に恥ずかしくなり、寝巻きのまま台所へ駆け出した。
 一緒に育ったはずだし、少し前まで旬介の方が遥かに幼く感じていた。それが今は自分一人残されたように、旬介の前にいる自分の方が遥かに幼く感じる。
 ふと、不安も感じた。このままでは、蜃どころか旬介にも見放されてしまうかもしれないと。
「私も強くならなきゃ」
 いつまでも、少女のままではいられないと思った。

 

-伝奇時代
-, , , ,

シリーズリンク