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現代ドラマ

鈴子 第二回 結婚

   2018年4月27日  

京都と東京、離れて暮らす鈴子と健一は愛を温めてきたが、健一の母、雅代の反対で破談の危機に陥ったが、それを健一の父、健之助が救ってくれた。

健之助は現役の国会議員だが、二人の気持ちを尊重し、多忙の中、京都の中西呉服店を訪れ、これまでの無礼を詫び、改めて鈴子を嫁に欲しいと、鈴子の家族の前に頭を下げた。

「鈴子を苛めておいて、何を言いはるん!」と怒る鈴子の両親、祖父母に、「二人の仲を許してほしい」と健之助は粘り、ようやく、二人の結婚が決まった。

その夜、二人は金沢に出掛け、そこで結ばれた。

結婚式は素晴らしいものになった。健之助は「二人の結婚だ」と妻の雅代の反対を押し切り、式には国会議員をはじめ政治関係者は呼ばず、招待客は大木家、中西家、同数とし、心からの祝福に包まれ、最後まで結婚に反対だった鈴子の祖母も「良かった。ほんまに良かった。」と涙が止まらなかった。

 

 
破談の危機

2月中旬、鈴子は健一を見送るために、新幹線のホームに立っていた。

「ふぅぅ・・」
「ふふふ、寒いでしょう?」
「ああ、東京とは違うね。」

京都の寒さは特別だ。

健一は時計を見た、時刻は午後8時を過ぎている。間もなく東京行きの新幹線が発車する。

「そろそろかな・・」

健一は旅行バックを持って乗り込んだが、鈴子はその手を握ったままだった。

「また、来月・・」
「はい・・」
「風邪なんか引かないように・・」

  ブー・・

ブザーが鳴り、鈴子が握っていた手を離すと同時に扉が閉まり、健一を乗せた新幹線は東京に向けて動き出した。

  健一はん!

鈴子は懸命に手を振るが、ガラス扉に顔を付けて手を振る現在の姿はどんどん小さくなり、やがて見えなくなった。

  結婚を正式に申し込むから、お父さん、お母さんにもよろしく・・

鈴子は健一の言葉を胸に抱き締め、ホームを降りて行ったが、その途中で携帯電話が鳴り出した。

「鈴子さん?」
「あ、はい、お母さんどすか?鈴子です。」

相手は健一の母、雅代だった。

「健一はん、今、新幹線を乗ってお帰りになりました。」
「あ、そう、ありがとう。」

電話のトーンが非常に素っ気なく、鈴子は嫌な予感がした。

 

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