幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

現代ドラマ

鈴子 第四回 姑との関係

   2018年5月7日  

忙しい代議士生活。癒されるのは家族との時間だ。夫の健一もそれが一番だと分かっていた。

健一は遅く帰っても、子供の寝顔を見るのを楽しみにしていた。そして、鈴子のことも可愛がってくれる。

少しずつ慣れてきた生活だが、そんな時にこそ、落とし穴にはまってしまう。

選挙が近くなり、健一は支援者を回っていたが、有力支援者の一人、法人会の長野会長の機嫌を損ねてしまった。

彼との関係を修復出来ないまま始まった選挙戦は苦戦した。

鈴子もこれまで築いてきた同世代の母親たち、子育て世代との絆から票固めに貢献した。

親友の水野陽子も応援に駆け付けてくれた。そして、最後に支援者中の支援者、吉岡産業の吉岡社長もマイクを握り、支持を訴え、何とか今回も勝ち抜いた。

当選に湧く選挙事務所では「若奥様は素晴らしい」と鈴子をほめる声が大きくなっていたが、姑の雅代だけは、それを許さぬと、冷たい視線を向けていた。

 

 
久し振りの休日
 

6月、汗ばむ鬱陶しい季節。

夜遅く帰宅した健一はネクタイも外さす、子供たちの寝顔を眺めていた。

「可愛いでしょう?」
「うん、飽きない。疲れなんか吹き飛ぶよ。」

健一はパジャマに着替えると、ソファーに腰を下ろした。

「あんさん、お風呂は?」
「うん、ああ、まだいいや。」

鈴子が淹れたお茶を美味しそうに飲んでいる。

「どないしたん?」
「え、何か?」
「ニコニコして、嬉しそうやから。」
「ははは、明日は完全にオフ、休みだよ。」
「ほ、ほんま?」
「本当だよ、休み。」
「あんさん・・」

鈴子は嬉しくて、思わず夫に抱きついていた。

サラリーマンの時は、毎週土日が休みだった。だが、義父、健之助が亡くなってからというもの、休むどころではなかった。

挨拶回り、補欠選挙、議会。自宅にいても、来客が途切れることはなく、その合間を縫って、相続手続きなど、子供の相手をする時間も無かった。

会期を延長していた議会が終わり、議員らが各々の選挙区で過ごせる束の間の休日。

「明日は全員休み。事務所を閉めるぞ。」

夕方、山形所長がそう宣言していた。

「智樹も小百合も喜びますよ。」
「久し振りにキャッチボールでもするかな?」
「四人でハイキングでも行きまひょか?」
「そうだな、子供たちに聞いてからにしよう。」

長男の智樹は小学校3年生、長女の小百合は1年生。二人ともパパと遊びたいのをずっと我慢していた。

 

-現代ドラマ
-, , , , ,

シリーズリンク

レビュー

この作品はいかがでしたか?
あなたの感想を送って、作家を応援しよう!

レビューを書く

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

おすすめ作品