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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理 【ぼくらのガーベラ】10

   

 謎のサイト、オルフェン。社会の不満を綴っていたサイトである。

 その発端者である数白はいまも同じ感情を持つ者を募っていた。

 杜坂もそのサイトの存在を知って書き込んでいた。そして二人は遭遇し、気持ちの中では孤独を感じていたが数白は少しずつ杜坂と出会ってから、かわった。

 同じ共感者を集め、杜坂は提案した。パソコンの中での綴ったことを表にだそうと言い始めた。

 名前まで明るいイメージのガーベラにしようと言った。

 ガーベラ発足へと動き始めたのだ。
 
 

 御影はある懸念を抱いていた。まさかそれがとんでもないでかいサイズになってしまったことに背筋が凍てついた。

 

 杜坂に呼ばれた二人のうち一人目は、名を数白かずしろ |陸(りく22歳。

 ガーベラという集団の発端者であるが「若者だけの組織、“オルフェン”というサイトを立ち上げた管理人だった。ネットの中だけで社会の不平不満を綴っている」

 石川県出身で当時18歳で茨城県の工場に就職。現在も勤めているが、新工場が昨年から移動し、廃虚と化した工場跡地が現在ガーベラの活動拠点となり秘密基地の一つとして全国の同感者を募っていた。

 いずれは社会に革命を引き起こすと掲示板に息巻いていた。だがあくまでも机上の空論、いやネットの妄想の世界の妄言止まりだろう。

 否定的な意見もある。社会の負け組みとか、問題児とか、うまく社会に馴染めない者に手厳しい文脈という生き物が蔓延っていた。

 そのうち羅列する文字すら嫌悪感を抱き、吐き気すら覚えるようになったが数白は杜坂と出会ってから少しずつかわった。

 オルフェンという孤独な存在ではなく、もっと明るいイメージを杜坂は提案した。

「未来が明るく希望に満ちた名前がいいだろ」

「そうだね」数白は同感した。

 そして、ガーベラとなった。

 日のあたらない影にひそむ人生を歩んでいることに気づかない世間の温室育ちな若者に敵意しかない。見下され、差別化され、嫌悪される。

 こんなくだらない社会をぶち壊して大人たちに、なにもかもを屈服させ変化をもたらすだけの訴えをする。

 オルフェンはパソコンの画面から飛び出し、ガーベラという明るく日に照らされた花となるシンボルに変貌を遂げた。

 花言葉が「希望」、「常に前進」、「辛抱強さ」、そして「神秘」

 数白は前の三つに期待を胸に強く込めていた。

 彼らにとっては希望となり明るい未来を見通す象徴となった。

 杜坂は四つ目の“神秘”という言葉が気にいっていた。花の形からして、胸にバッチをするのであれば似たようなものがあることを見つけたからだ。

「たとえば、政治家の胸バッチとか」

 バッチは丸く無数の花ビラに囲まれている。

 頂点に君臨するのであれば、このシンボルは妥当であると。

 それからもう三年が経つ。数白はわりと早く挫折を経験してしまい、救いを求めるようにわかちあうようにしてサイトを立ち上げた。

 杜坂と文面だけでつながっていたが賛同してくれた理解者となり、直接個人間だけでメッセージを送れるようにもしていたため、それで出会うことができた。

 まさか同じ町に住んでいるとは思いもしなかったという。

「オルフェン…、それもいいがガーベラというのはどうだ? 花の名なら親しみもある」

 杜坂は数白にアドバイスした。

「でも、杜坂さんがトップなんだから、そう思うならそうすればいいと思いますけど」

 数白はどこにでもいる普通のタイプの青年だった。杜坂はそこに目をつけた。

「若者だけの愚痴を言い合うのは終わりにしよう。オルフェンもパッと花を咲かせる。ネットの中だけで社会に不平不満を綴ってもしかたがあるまい」

「杜坂さんがそう言うなら、俺らの発想の域を超えて現実になるのなら…」

「時間はかかるが、まかせろ」杜坂は自信過剰な笑みを浮かべた。

 互いにグラスとはいかないが自販機で買った缶ジュースで乾杯をかわした。

 ガーベラ発足へとなった。

 

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