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現代ドラマ

鈴子 第五回 広がる付き合い

   

鈴子の夫、健一は補欠選に続き、総選挙も勝ち抜いた。

だが、政治は多くの支援者の支えられているが、きれい事ばかりではない。特にタニマチ的スポンサーは大切にしなくてはいけない。彼らも、こちらにいろいろな見返りを期待している。

最大の支援者である吉岡産業社長の吉岡誠三も孫であり、自分の後継者である俊夫を大木健一に引き合わせ、将来の糧とさせようとしている。

選挙区での付き合いはこのようにして広がるが、議会での活動も多忙となり、家族で過ごす時間が短くなってくる。

ある日、姑は「議会活動の時間を確保するため、健一と議員会館で暮らすから、あなたはここで留守を守りなさい。」と鈴子に相談もなく、一方的に決めてしまった。

初めて出会った時から信じてきた夫が遠くに行ってしまった気がして、鈴子の心は激しく動揺した。

 

 
吉岡家
 

政治はきれい事ばかりではない。特に金銭関係は色々ある。何しろ金が掛かるから、支援者であり、タニマチ的スポンサーは必須である。

大木家にとって、吉岡産業社長の吉岡誠三はそんな存在だった。

12月末、師走の空気は冷たい。

「社長、時間です。」
「分った、直ぐに行く。」

毎朝7時半、吉岡産業の社長、吉岡誠三は後継者と見込んだ孫で秘書役を務める吉岡俊夫と一緒に車で出勤する。

「俊夫、11月末の数字はどうだ?」
「はい、目標対比95%、まあまあだと思います。」
「何、まあまあだと?バカ、未達じゃないか。2ケ月過ぎても結果が出ないと年度末が苦しいんだ。」
「あ、いや、皆さん、頑張っていますから・・」
「頑張ったってダメなんだ、目標は達成しなくては。」
「はあ・・」

祖父の誠三は「甘いなあ」と渋い顔をしていた。

  企画部の係長をしていたから、もう少しできるかと思ったが、秘書役に引き上げるのが早すぎたかな・・

「企画部の桧山副部長に対策を検討するように指示してあるから、お前もその議論に加われ。」
「はい。」

間もなく車は吉岡産業本社に到着する。

「今日の予定ですが、午前9時から工場長報告、10時には人事部長が・・」
「ああ、もういい。そんなことはパソコンを見れば分る。」
「あ、はい・・」
 

 

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